更新:6月18日 10:00PC&デジタルカメラ:最新ニュース
期待の「イオン」でVistaも動画もサクサク動く? ミニノートPC第2章
低価格ミニノートパソコンの高機能化は、液晶やストレージだけにとどまらない。米エヌビディアの最新プラットフォーム「ION(イオン)」を採用する製品であれば、ブルーレイ・ディスク(BD)ビデオの再生や、3Dゲームも楽しめるようになるという。「ミニノートPC第2章」シリーズの最終回では、イオンの性能の一端から、今後の低価格ミニノートの進化の方向性を探る。(竹内亮介) 現在主流の低価格ミニノートは、インテルの「インテル945GSE エクスプレス」というグラフィックス機能内蔵のチップセットを用いることが多い。これは2006年1月に発表した「インテル945GM エクスプレス」に準じる機能を持ち、現行のノートパソコン向けチップセット「インテル4シリーズ」と比較すると、2世代古い。それだけにグラフィックスの描画性能は低く、高画質動画の再生支援機能は搭載しない。 ■グラフィックス性能が10倍に このグラフィックス機能が低いという低価格ミニノートの弱点を補うのがイオンだ。イオンは、インテルの超低消費電力CPU「Atom」シリーズと、エヌビディアのグラフィックス機能内蔵チップセット「GeForce 9400M」を組み合わせた最新プラットフォームで、08年12月に発表された。
GeForce 9400Mのグラフィックス性能は、945GSE エクスプレスに比べて10倍という。これにより、画面描画の負荷が大きい「Windows Vista(ビスタ)」でも軽快に動作し、精緻な3Dゲームもプレイできるようになるという。また、高画質動画の再生支援機能も搭載しており、945GSE エクスプレスでは難しいBDビデオの再生も可能になるとしている。 イオン搭載製品はいくつか発表されている。国内では6月26日に日本エイサーが小型デスクトップパソコン「AspireRevo」を発売する予定。ノートパソコンでは、米レノボが12.1型ワイド液晶を搭載する「IdeaPad S12」を夏以降に発売すると発表している。ただ、現時点ではイオンを搭載する製品はまだ店頭に出ていない。 しかしイオンを採用するマザーボードは、少数ながら自作PCパーツ市場で流通し始めている。今回は「Atom 330」(駆動周波数は1.6ギガヘルツ、デュアルコア)を搭載するイオンプラットフォームのマザーボード「IONITX-A-U」(ZOTAC製、国内代理店はアスク)を使用して、その性能をチェックしてみた。 【マザーボード以外の環境】 ■ビスタの動作スピードは? まずビスタをインストールした。ビスタの使用感の指標となる「Windows エクスペリエンス インデックス」は下の表の通り。Windowsのデスクトップ操作の快適さを示す「グラフィックス」は5.9と最高値を示し、3Dゲームなどの快適さを示す「ゲーム用グラフィックス」も4.8だ。 同じくCPUにAtom 330を採用するインテルのマザーボード「D945GCLF2」と比較してみると、イオンのグラフィックス性能の高さが際立つ。このD945GCLF2はグラフィックス機能内蔵のチップセット「945GS エクスプレス」を搭載している。低価格ミニノートに組み合わされる945GSE エクスプレスよりも消費電力が高いが、機能や描画性能はほぼ同じであり、比較するにはちょうどいい対象だ。
ウェブサイトの表示やオフィスソフトの定型処理にかかる時間などを計測し、実際に使用したときの感覚に近いとされるベンチマークソフト「PCMark05」の結果も参考に示した。グラフィックス性能を表す「Graphics Score」はD945GCLF2に比べて4倍以上。システム全体のスコアである「PCMark Score」もグラフィックス性能の向上で底上げされた。
使った実感も同様で、「Atomでビスタがこんなに軽く動作するのか」と驚いた。ビスタを搭載する低価格ミニノートはいくつかあるが、いずれもウィンドウやスタートメニューの表示がもたつくなど、操作にストレスを感じることが多い。しかしIONITX-A-Uではそうした気になるところはなく、クアッドコアCPUに中位のグラフィックスカードという組み合わせのPCと比べても、操作性に大きな違いを感じない。 ■BDビデオの再生、地デジ視聴は?
BDビデオの再生は、再生ソフト「WinDVD 9 plus」(コーレル)をビスタ上でインストールし、外付けBDドライブは「BDVRP-UH4」(アイ・オー・データ機器)を使った。BD再生時は、再生ソフトの設定の1つである「ハードウェアデコードアクセラレーション」が自動でオンになる。CPU負荷率は55〜60%程度に上がったが再生はスムーズで、BDビデオを再生しながらウェブサイトを閲覧しても支障はなかった。 従来の低価格ミニノートでは使いにくい機器の1つに、地上デジタル放送チューナーがある。USB接続の外付けタイプ「DT-H30/U2」(バッファロー)を試してみたところ、番組視聴時のCPU負荷率はBDビデオ再生時とほぼ同じ60%程度だった。 録画しながら視聴すると65〜70%程度に上がるが、それでも映像にコマ落ちが発生したり、操作がカクカクしたりすることはない。一般的な性能の低価格ミニノートでは番組視聴だけでもコマ落ちが生じて見るに堪えないのと比べると大違いだ。 ■イオン搭載PC、気になる価格は? ビスタや3Dゲームが快適に動き、BDビデオの再生も可能というグラフィックス性能はどうやら、うたい文句どおりのようだ。採用が広がれば低価格ミニノートの用途を今まで以上に広げ、パソコン市場に大きな影響を与える可能性があるだろう。 問題はイオン搭載製品の価格。日本エイサーのAspireRevoは、Atom 230(駆動周波数は1.6ギガヘルツ、シングルコア)を搭載する基本モデルの場合で予想実勢価格が4万円前後。ただ、BDビデオを再生するなら、外付けドライブ(実勢価格は1万円前後から)を追加する必要がある。 米レノボのIdeaPad S12は、価格は未定。しかし、AspireRevoの予想実勢価格が、インテル945GSEエクスプレスの低価格デスクトップとそれほど変わっていないことを考えると、IdeaPad S12も今までの低価格ミニノートに近い価格帯で登場すると予想できる。 台湾メーカーの躍進に続き、国内メーカーが本腰を入れたことでさらに活性化した低価格ミニノート市場。今回のテストでみえてきたとおり、イオン搭載製品が登場すればさらに大きなインパクトをもたらすことは間違いなさそうだ。 [2009年6月18日] ● 関連記事● 関連リンク● 記事一覧
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