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更新:5月24日 12:21モバイル:最新ニュース

「スイカのペンギン」誕生秘話 作者に聞く

 東日本旅客鉄道(JR東日本)が提供する非接触ICカード「スイカ」の利用範囲が広がっている。セブン&アイ・ホールディングスは19日、JR東日本との間で「スイカ」の利用に向けて交渉を始めた。ローソンは同日、「スイカ」を全店で採用する検討を進めていると報じられた。

 「スイカのペンギン」は、「スイカ」のキャラクターだ。ICカードに印刷されているほか、テレビCMやキャラクターグッズ、ポスターなどに使われている。それにしても、なぜペンギンなのだろうか。キャラクターの生みの親である絵本作家のさかざきちはるさんに聞いてみた。

■初めて触れる「スイカ」だからペンギンを起用

 さかざきさんによると、「スイカ」が開始当時は、誰も知らない、既存のものとは違うサービスだったことがペンギンを起用した理由だったそうだ。「ペンギンは寒い国の動物だから、日本の夏の風物詩であるスイカを知らない。全く知らない『スイカ』に初めて触れる存在ということでペンギンになったようです」(さかざきさん)。最初のキャンペーンで配布されたリーフレット(小冊子)にはペンギンがICカードの「スイカ」を使って、改札をくぐりぬける絵が描かれている。JR側の担当者からは「JRにはお堅いイメージもあるけれど、サービスの説明はかわいくて手にとって見られるものにしたい」と言われたという。

最初のキャンペーンで配布されたリーフレット。このとき「スイカのペンギン」が生まれた。

■もともとは一時的なキャンペーン用

 「これほど長く使われるとは思わなかった」とさかざきさん自身が話すように、「スイカのペンギン」はもともとは一時的なキャンペーンのために生まれた。キャラクターにペンギンを使うと決まってから、ペンギンの絵本を多く手がけていたさかざきさんに依頼があったのだという。

 サービスを浸透させる手だてとしてキャラクターを用いる場合、その商品のためにキャラクターを一からデザインすることが多い。しかし、「スイカのペンギン」の場合は出発点が違い、キャンペーンが好評だったのを受けて、続けて使うことになったようだ。さかざきさんは「企業の宣伝用として世に出たキャラクターとは違い、作り手の自由にできる部分も残してもらっている」と話す。

■多くの人に受け入れられるシンプルさ

 「もともとシンプルなものが好きだった」。さかざきさんは言う。世界で最も広く知られたペンギンのキャラクター「ピングー」のようなシンプルなデザインが好きなのだそうだ。「スイカのペンギン」のモデルとなったアデリーペンギンは白と黒の2色で描ける。「クールでユニセックスな感じが好き。絵本を出したあたりからたくさん描いてきた」という。老若男女、多くの人に使われるカードだけに、「女の子だけに支持されるようなファンシーなものになりすぎないようには気をつけている。男性でも抵抗なく持てるはず」と話す。

■変わる顔とキャラクター

 実は「スイカのペンギン」の顔は少しずつ変化している。初期の「スイカのペンギン」は顔のシルエットがシャープで表情もあまりない。しかし、最近は顔が初期に比べて少し大きくなり、丸っこい体形に変わった。

左が最初の「スイカのペンギン」、右が最近の「スイカのペンギン」

 テレビCMを手がけているのは広告代理店最大手の電通だ。露出が増えるのに従って、さかざきさんの手を離れて、「スイカのペンギン」が一人歩きしてしまうかと思えば、さにあらず。「もともとの作者の私よりも(電通側は)熱心に見てくれている。『スイカのペンギンはこんなことをしちゃだめだ』『こんな使い方はおかしい』などと、しっかり議論してくれている。嫌な方向にデザインが変えられたことはないし、お互いの意思疎通はきちんと取れている」とさかざきさんは話す。

絵本『ペンギンのおかいもの』(幻冬舎刊)

 スイカのサービスをきっかけに、さかざきさんの仕事の幅も広がっているようだ。昨年に出した絵本『ペンギンのおかいもの』(幻冬舎刊)はそれまでの大人向けのテイストとは違い、子供向けの内容に仕上がった。「子供向けの作品も描いてみたら面白かった。今後も作っていきたい」という。現在は横浜市で個展「坂崎千春展」(有隣堂ルミネ横浜店)を6月14日まで開催している。

[2006年5月24日/IT PLUS]

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