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更新:8月21日 10:00モバイル:最新ニュース

「アンサーだけでは、新しいものは生まれない」夏野氏に聞く携帯の未来

 「iモード」や「おサイフケータイ」の生みの親として活躍し、6月にNTTドコモを離れた夏野剛氏。現在は慶応大学大学院政策・メディア研究科の特別招聘教授として教鞭をとるかたわら、ドワンゴなど複数の企業の役員や顧問を務める。ドワンゴでのビジネスやケータイ業界の課題について、夏野氏に話を聞いた。(聞き手は石川温)

 夏野氏がビジネス分野で特に力を入れているのがドワンゴの特別顧問だ。同社が提供する動画共有サイト「ニコニコ動画」は7月末現在の会員数が845万人、1日のユニークユーザーは236万人。月額500円を支払う有料会員も20万人を突破し、日本発のウェブ2.0サービスとして注目度は高い。しかし経営は赤字が続いており、夏野氏は黒字化達成という使命を担っている。

■「iモード」立ち上げ時のエキサイティングな感覚

――ドワンゴの特別顧問に就任し、どのような日々を送っていますか。

 プラットフォームとしてのニコニコ動画の可能性をさらに確信している。特に新しく導入するサービスの社内でのディスカッションでは、iモードを立ち上げたころのエキサイティングな感覚がよみがえってきた。毎日が楽しい。

 ある日、絆創膏を貼ろうと思って薬箱を開けたら、葛根湯が大量に出てきた。思い返すと、ドコモを辞めるというアナウンスをしてから風邪を引いていない。ドコモ時代は仕事相手にストレスをかけて生きてきたと思っていたが、実際は自分もストレスを感じていた。

 今はストレスフリーで、超ハッピー。「最近は顔つきが変わった」と言われるくらいだ。

――ドワンゴではどのようなビジネスに取り組むのでしょうか。

 ニコニコ動画の黒字化、一般化、国際化という3本柱を攻めていく。私にとってニコニコ動画の一般化は最大のミッションと言ってもいい。今までiモードで培った知識と経験をフルに応用していきたい。一般化と黒字化は来年中に何とかしたい。国際化はその先の成長軸といえる。

■今後は動画共有サイトの付加価値が勝負どころ

――動画共有サイトでは最大手の「YouTube」をはじめライバルが数多くあります。ニコニコ動画はどのように競争していくのでしょうか。

 付加価値の勝負になってくる。動画を共有するだけだったら、それは単なるストレージサービスに過ぎない。ただ、それらは今まではある一定の意味を持っていた。特に最大手のところは日本のテレビ番組の過去の映像が見られる付加価値があった。

 しかし、NHKがアーカイブ配信を始めることにより、きちんとしたものがネットに上がるようになってきた。そうなると、ユーザーが二次的にアップしているものよりもいいものがそろってくるようになる。NHKの映像が動画共有サイトに上がっていても意味がなくなってくる。

 ニコニコ動画は、ほかのような単なる動画共有サイトではない。動画を見て、その体験を共有できる。普通の動画共有サイトは野球中継がテレビと同じように見られるだけの世界。ニコニコ動画は球場に行く感覚に近い。中継映像と隣でヤジを飛ばしているおじさんのヤジが見られる。同じ動画を見ている人がどんな感想を持っているか、どういうリアクションをしているかをまた見られる。

 まさに「場の共有」で、ほかとは全く違うものといえる。ほかの人のコメントに笑ってしまうことがある。これこそ付加価値と言えるだろう。

■90秒間で8万人弱を集められる

――テレビ局などと提携をしていく可能性はあるのでしょうか。

 ニコニコ動画は真面目に違法動画の削除をしている。テレビ番組がそのまんまアップされているものは基本的にはない。

 ただ、(テレビ局には)他の動画サイトと同じと思われているふしもあり、まだちゃんと理解されていない。これから是非テレビ局とは組んでいきたい。これまでテレビ局やメディアなどと仕事をしてきたことがあるので、それも自分のミッションのひとつだと思っている。

――具体的にはニコニコ動画をどのように一般化、黒字化していくのでしょうか。

 先日、動画視聴中に別の動画を割り込ませる「ニコニコ割り込み」を利用し、その瞬間に動画を視聴している全ユーザーに対してリアルタイムでアンケートを行ったところ、90秒間で7万8000人が答えてくれた。これほど分母が大きく、短時間で答えが出るアンケートはないはず。これは広告メディアとしての力も発揮している。

 一般化の一段階としては、今いる845万人のパソコンユーザーを1270万人にしたい。そうすれば、全人口の1割がユーザーという計算になる。いまはニコニコ動画ユーザーはオタクとして見られているかもしれないが、まさか10人に1人がオタクの国ではないはず。その先、2000万〜3000万に持って行こうと思ったら、パソコンユーザー以外に広げていく必要があるだろう。

 黒字化するには有料会員からの収入と広告収入を拡大していく。ユニークユーザーでみると、7月時点で1日236万人が確実に見ているメディア。これで広告ビジネスとしてなりたたないはずがない。しかも、20万人が毎月500円払ってくれている。(有料会員を増やすため)これからユーザー向けの付加価値パッケージも導入していこうと思っている。

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