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更新:9月10日 12:05モバイル:最新ニュース

ジョブズCEO復帰、「iPod」も進化 アップルの攻勢は続く

 米アップルは日本時間10日未明、携帯音楽プレーヤー「iPod」の新シリーズと「iPhone OS」のアップデートを発表した。毎年、この時期に恒例となったアップルのiPod関連の新製品発表会。体調不良で今年前半は休職していたスティーブ・ジョブズCEOがプレゼンテーションに見事に復帰してアップルの新しい戦略を次々と語った。(石川温のケータイ業界事情)

■iPod nanoにビデオ機能

 新しいiPodシリーズのなかでも特に目を引くのが「iPod nano」の進化だ。

 見た目は前モデルと変わらないが、新機能としてビデオカメラとFMラジオを内蔵させた。FMラジオは「ライブポーズ」機能を搭載し、ワンクリックでラジオを「一時停止」することができる。実際はラジオ番組を一時的に録音しておく仕組みで、最大15分までなら追っかけ再生することが可能だ。

ビデオカメラを搭載した新しい「iPod nano」〔AP Photo〕

 ビデオカメラは本体背面に内蔵し、いつでも動画を撮影できるようにした。画面の真ん中に鏡を置いたかのように画像を左右対称に表示する「ミラー」や、色調をセピアにするなど映像に装飾を施す機能も備えている。

 一方、2000万台の販売実績を誇る「iPod touch」は、今年6月発売の「iPhone 3GS」と同様に処理速度を大幅に向上させた(32GBおよび64GBモデルのみ)。エントリーモデルとなる8GBモデルは199ドル(日本での販売価格は1万9800円)に値下げされた。

■ゲーム機としてのiPod touchをアピール

 プレゼンテーションでは、「プレイステーション・ポータブル(PSP)」「ニンテンドーDS」といった他社の携帯ゲーム機を名指しし、iPod touchがいかに優れているかを強調していた。例えば、ゲームタイトル数の比較ではPSPが607本、DSが3680本に対して、iPod touch(iPhone含む)は2万1178本と圧倒していることをアピール。PSPやDSにはマルチタッチ機能がなく、「App Store」のようなアプリケーション販売システムが存在しないことも指摘した。

 日本市場の感覚からすると、もはやiPhoneがあれば十分で、iPod touchは商品ラインアップとしてさほど重要ではないと思いがちだ。しかし、米国ではiPhoneは金銭的に余裕のある社会人が持つ傾向が強く、学生などは月額基本料金がかからないiPod touchを好んで買うという。

 スマートフォン向け広告会社admobの調べでは、iPhoneユーザーの58%が25〜49歳であるのに対して、iPod touchは実に69%が13〜24歳と若年層に偏っている(iPhoneユーザーで13〜24歳は26%程度)。同じくadmobのデータでは、iPhoneユーザーが月平均10.2本のアプリをダウンロードするのに対し、iPod touchユーザーは18.4本で倍近く多い。

 「若年層がゲーム機代わりに使うのがiPod touch」というユーザー特性があるだけに、アップルとしては64GBの大容量モデル投入や本体価格の引き下げで、さらに携帯ゲーム機との差異化を図りたいのだろう。

■OSアップデートで使い勝手も向上

 一方、iPhoneやiPod touch用のOS「iPhone OS 3.0」も今回の新製品発表にあわせて「3.1」にバージョンアップされた。

 パソコン用音楽管理ソフト「iTunes 9」との組み合わせにより、使い勝手をさまざまに向上させた。例えば、iPhone上のアプリケーションのアイコンを、iTunesの画面から自由に並び替えられるようにした。これまではiPhoneの画面上でいちいちアイコンを動かす必要があり、並び替えや整理はかなり面倒な作業だった。パソコン画面で操作できるようになり、その煩雑さが解消されたのはうれしいポイントだ。

 また、音楽ではおなじみのプレイリスト作成機能「Genius」がApp Storeにも加わり、ユーザーのダウンロードした履歴からオススメのアプリを紹介してくれるようになった。現在、App Storeは世界で7万5000以上のアプリがそろい、累計ダウンロード数は18億本に達している。その半面、供給される本数が増えすぎて、ほしいアプリを発見するのが一苦労になっているだけに、履歴からオススメアプリをピックアップする機能は重宝するだろう。

■アプリのオススメ機能をさっそく試してみた

 さっそく、10日早朝にiTunes 9とiPhone OS 3.1をダウンロードしてGenius機能を試してみた。すでにモータースポーツ関連のアプリをダウンロードしていたので、それに基づくオススメとしてスポーツのアプリがピックアップされたのは理解できた。

 しかし、なぜか「雑誌オンライン」というアプリに対して「電気代計算機」、「電子チケットぴあ」に対してパズルゲームがレコメンドされるなど、一部で首をかしげたくなる結果も出てきた。このあたりは今後、ユーザーデータの蓄積が進めば改善されていくだろう。

 このほかのサービスでは、米国ではiPhone上から着信音を直接購入できるようだが、残念ながら日本市場では非対応となっている。映画やテレビ番組のダウンロードなど米国にあるサービスが日本では一部使えないという地域差のある状況は変わらない。

 日本のiPhoneユーザーにとっては、6月のiPhone 3GS発売から2カ月余りでiPhone OSがアップデートされたことが最大のニュースだろう。iPhoneが常に進化を続けていることを実感できる。

 ジョブズCEOが晴れて表舞台に復帰。iPod touchで若者ユーザーを開拓しつつ、ソフトウエアアップデートで既存ユーザーを飽きさせずに顧客満足度を上げていくアップルの戦略は、今後しばらく安泰かもしれない。

[2009年9月10日]

-筆者紹介-

石川 温(いしかわ つつむ)

 

略歴

 日経ホーム出版社に入社し、月刊誌「日経Trendy」編集記者に。ケータイ業界を中心にヒット商品、クルマ、ホテルなどを担当。2003年にジャーナリストとして独立した後、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広くケータイに関する記事を執筆。テレビなどにも多数出演。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦 AndroidとiPhoneはどこまで常識を破壊するのか」(技術評論社)、「ケータイ業界52人が語る「戦略」の裏側」(毎日コミュニケーションズ)がある。

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