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更新:9月7日 10:36モバイル:最新ニュース

「iPodタッチ」登場でiPhone日本上陸はさらに遠のく

 アップルが6日(現地時間5日)、iPodシリーズを一新した。最大の話題は何と言っても「電話なしiPhone」との異名を持つ「iPodタッチ」だろう。iPhoneを発売したわずか2ヵ月後に大幅値下げをし、同じインターフェースを持つiPodタッチを発売するアップルの狙いは何なのか。(石川温のケータイ業界事情)

■iPhoneにあってiPodタッチにないもの

 iPodタッチとiPhoneの正面からの見た目はほぼ同じ。電話機能が省かれ、薄さが8ミリとなっている。iPhoneで初めて搭載されたタッチパネルでの革新的な操作性を踏襲し、アルバムや楽曲、写真の選択が直感的に行えるのが魅力だ。iPodとしての音楽機能や、YouTubeの閲覧、ブラウザ「Safari」、スケジュール機能、写真管理機能などはiPhoneと一緒だ。しかし、実際に触って細部を比較してみると、様々なところが異なっている。

 iPhoneと比べ、省かれているのは電話機能だけではない。カメラ、ブルートゥース、マイク、スピーカーは見あたらないし、メールやGoogle Mapsアプリ、天気アプリ、株価アプリなどが非搭載となっている。

 特に意外だったのがメール機能だ。iPodタッチは無線LANに対応し、日本語入力も可能となっている。ブラウザも搭載しているだけに、なぜ利用頻度の高いメール機能が備わっていないのか、不思議でならない。

予測返還機能つきの日本語入力も可能

 ただ、じっくりと比べると、iPodタッチはPDAではなく、あくまで「携帯音楽プレーヤー」としての路線を貫いていることがわかる。例えば、iPhoneはスケジュール機能で予定の新規作成ができるが、iPodタッチは閲覧しか対応していない。

 iPodタッチにはソフトウエアキーボードなどの入力インターフェースがあり、日本語入力に対応しているにも関わらずだ。確かにこれまでのiPodもパソコンで管理したスケジュールを閲覧することはできても、新規で作成することは不可能だった。

 iPhoneが情報を入力し管理できるスマートフォンであるのに対し、iPodタッチは情報を閲覧、再生するビューアーでしかない。「コミュニケーション機能の有無」がアップルが考えた目一杯の差別化ポイントなのだろう。

■iPhone日本上陸は遠のいてしまうのか

 今年1月、iPhoneが発表されると、「いつ日本で発売されるのか」「どこのキャリアが販売するのか」という話題で持ちきりだった。6月29日にアメリカで発売されると、その予想はさらに過熱した。

 しかし、iPodタッチが登場したことで、iPhoneが永遠に日本に上陸しなくても何ら問題がないような気がしてならない。音楽や動画、そしてウェブ閲覧を、これまでにない直感的な操作で楽しみたいなら、iPodタッチで充分に満足できるからだ。メール機能は搭載されていないが、Gmailなどのウェブメールを使えば、充分に代用は可能だ。いままで慣れ親しんだケータイでメールや通話を行い、音楽は専門家であるiPodタッチに任せればいい。

 これまで、日本導入に積極的な態度を見せていたNTTドコモや、iPhone発表時に米サンフランシスコの会場まで足を運んだソフトバンクの孫正義社長は、iPodタッチを見て、iPhoneの日本導入に興味を失ってしまったかもしれない。なぜなら、アジアに導入されるといわれる2008年頃には、iPodタッチはすでに街中で当たり前のように普及しているはずで、iPhoneはユーザーを獲得する強力なキラー端末にはなり得そうにないからだ。

 アップルはiPodタッチを投入するにあたり、新サービス「iTunes Wi-Fi Music Store」を開始する。これは、無線LANのネットワークを使い、iPodタッチ(もしくはiPhone)単体で、音楽の購入、ダウンロードができるというものだ。これまでは楽曲を購入するにはパソコンが必要だったが、iTunes Wi-Fi Music Storeにより、いつでもどこでも好きな曲を手に入れられるようになる。

 日本のキャリアにとってみれば、もしiPhoneを導入すれば、ユーザーを獲得できるだけでなく、楽曲の購入に3Gネットワークを利用してもらい、データARPU(1契約あたりの月間収入)の向上も期待できたはずだ。しかし、アップルは無線LANを選んでしまった。ARPU向上という目論みは打ち砕かれた。

 またアップルでは、今回からiPhone用に着信音の販売も始めた。iTunesで購入した楽曲に追加で99セントを支払うと、1曲のなかで自分の好きな部分を着信音に設定できるという仕組みを用意したのだ。アップルは自社で端末を用意し、音楽と着信音を販売する、究極の垂直統合モデルを構築してしまった。日本のキャリアにとって、iPhoneを導入する旨みはかなり減ってしまったのだ。

 日本ではワンセグやおサイフケータイが一般的になり、端末が売れるための標準機能となりつつある。キャリアがiPhoneを日本に導入したいからといって、アップルにこれらの機能に対応するよう強制するのは困難だろう。アップルとしては日本でしか使えない機能に余計な開発コストをかけるのは迷惑なことだし、キャリアもそのコストを負担する余裕などない。

 日本のキャリアが今後、世界のGSM圏内で売れていくiPhoneを見て見ぬふりをしつづけ、導入を見送ることは充分に考えられる。

■なぜ、このタイミングで投入したのか

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