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更新:8月12日 11:30モバイル:最新ニュース

「iPhone」上陸で日本のモバイルは変わるか・専門家はこう見た’08夏(2)

 IT PLUS恒例の夏の識者アンケート第2回は「iPhone上陸で日本のモバイルは変わるか」をテーマとした。7月11日に日本を含む世界22カ国で発売された米アップルの携帯電話端末「iPhone 3G」は、成熟期を迎えた日本のケータイ市場にどれだけの影響を及ぼすのだろうか。連載コラムニストやIT分野を中心とする専門家に聞いた。

 iPhoneはタッチパネル式で、指をあてて横にすべらせると次のページに移るといった直感的な操作ができるのが特徴。7月11日の発売初日、ソフトバンクモバイルの表参道店では初日から1500人以上が並ぶ人気ぶりを見せた。ソフトバンクの孫正義社長は「携帯電話のインターネットマシン化が進む」とアピール。一方、NTTドコモはiPhoneの発売に未練を残しつつ、法人向けに特化していたスマートフォン「ブラックベリー」を個人向けに発売した。韓国サムスン電子もiPhone対抗機種の投入を控えている。

【質問2】 iPhoneは携帯とパソコンの垣根を取り払い、モバイル業界に新しいビジネスモデルも持ち込もうとしています。一方、おサイフケータイや絵文字などに対応しておらず日本市場では不十分との指摘もあります。iPhoneは日本でどの程度ヒットすると思いますか。また、日本の携帯電話業界にどのような変化をもたらすと思いますか(識者名のあいうえお順で掲載、敬称略)。

■これまでの質問
【質問1】 ネット時代の著作権、権利者保護か流通優先か

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iPhone旋風が米通信業界にもたらした新しい競争軸

インテック・ネットコア代表取締役社長

荒野 高志


イノベーションは末端で起きることを証明した

 iPhoneはおサイフケータイ機能がないのでダメだとかそういうミクロな評価もありますが、長い目で見たときには「イノベーションは端末とそこに紐付いたサービスにあるのであって、通信自体にはない」ということを、はっきり認識させてくれてしまった象徴的なモノなのではないかと思います。

 例えばiモードというイノベーションは通信会社が端末まで抱え込んでいたからこそ通信の領域のイノベーションに見えたわけです。しかし、実はiPhoneみたいな製品が今後次々とサービス連携して登場するとなると、固定や3G、4G、無線LAN、WiMAXなど通信手段はなんでもいいから端末とサービスがつながってさえいればよい、ということになるのだと思います。結論としてこれからの通信業は通信自体というよりは、いかに端末とサービスとをつなぐ役割に徹することができるかが重要になるでしょう。

ジャーナリスト

石川 温


2台目を持てる人がどれだけいるか

 iPhone 3Gは、まずは100万台という数字がヒットの目安になると思う。しかし、潤沢にモノが日本に入ってくるか、といった不安視される要素もあり、どこまで100万台に近づけるかは不透明なところも多い。

 iPhone 3Gは、どうしてもバッテリーの不安がつきまとう。そのため、メーンの端末として使うにはやや心許ない。「2台目」として所有できるユーザーがどれだけいるかということもポイントだ。

 個人的に期待しているのは、iPhone 3Gの出現によって、端末の多様性がさらに広まってくれることだ。日本のユーザーはとにかく「テンキーで押しやすい端末」を求める傾向にある。そのため、メーカーはそれに応えようとして、結果、各社とも似たような端末ばかりを揃えるようになってしまった。iPhone 3Gによって、日本人が「テンキーではない端末」を受け入れられるようになると、日本の市場はますますおもしろくなってくるように思う。

チームラボ社長

猪子寿之


ケータイはソフトウエア企業が作る時代に

 iPhoneは、絵文字が使えない。片手で使えない。そんなケータイで、日本のかわいい女の子たちが、コミュニケーションなんて取れない。

 ただ、iPhoneは、確実に未来を示しているし、絵文字の問題なんて解決しようと思えば、いつでも解決できる問題だ。アップルがやらなくても、どこかがするだろう。でもそれは、現在の日本のケータイメーカーではないと思う。

 ケータイは、ハードウエア企業(家電メーカー)が作る時代から、インターフェースやインターネットテクノロジーに強いソフトウエア企業が作る時代に変わっていくからだ。開発プロセスや重要視している部分が、ハードウエア企業とソフトウエア企業とでは全く違うため、技術的に無理というのではなく、開発プロセス的に難しいと思う。

 日本には、iPhoneに匹敵するケータイを作ることができる企業は任天堂くらいしか思いつかないが、任天堂がケータイを作れば非常におもしろそう。現在のケータイメーカーは、よほどの英断をして、クリエイティブでハイテクなソフトウエア企業と組まなければ生き残れない。気が付けば日本市場においても、現在のケータイメーカーはだんだんと競争力がなくなっていくだろう。

情報セキュリティ大学院大学教授 兼 横浜市CIO補佐監

内田 勝也


爆発的なヒットはない

 一定のユーザーは獲得するだろうが、iPhone自体の爆発的なヒットは考え難い。

 高級PDAと考えることになるのだろうが、多くの携帯ユーザーが利用している機能が欠けていることがその理由だ。

 ただ、国内携帯電話業界に色々な工夫を考えさせるインパクトはあると思っており、ユーザーにとってはいいことだと思っている。

デジタルメディア コンサルタント

江口 靖二


携帯電話という名前が消える

 携帯電話としてどうかと言うことではなく、常にネットに接続されたモバイル、ユビキタスなガジェットとして大きな意味を持つ。常時接続型の端末を持ち歩くことがもたらすであろう影響力は計り知れない。やがて携帯電話という名前自体が消えてしまうのかも知れない。ただし10年後か?

経済評論家、公認会計士

勝間 和代


ソフトバンク以外のキャリアが追随するか

 ある程度はヒットするでしょうが、より重要なのは日本のユーザーの好みに応じた進化をしていけるかという点だと思います。また、ソフトバンク以外のキャリアがどの程度追随するのかにもよるでしょう。

富士通経営執行役 米州副総代表

加藤 幹之


日本勢はネット機能を伸ばすべき

 ファッション性やiPodと一体化した機能性など注目に値すると思うがこれが日本のモバイルを変える物となるかは、疑問だ。これが日本の業界を直ちに変えるとも思えない。

 しかし、日本市場への対応が不十分だからと、軽視することも危険である。これからの携帯は、インターネット端末として、どれだけ外の世界とつながり、「Software As A Service(SaaS)」のような外部のサービスを利用できるようになるかが重要だと思う。日本の携帯はインターネット利用について先を行っており、それをもっと伸ばす発展に期待する。

早稲田大学大学院国際情報通信研究科客員助教授

境 真良


「進化する携帯」という新たな方向性

 iPhoneが提示するのは「大画面とタッチパネルのインターフェースというハードウエアが、開放されたネットワークアプリケーション開発によって進化する携帯電話」という端末のあり方である。しばしば指摘される日本の携帯電話の機能との差違のほとんどは、必要であれば今後実現可能である。進化するデバイス、というあり方は、日本の携帯電話にも影響を与えるかもしれない。その場合、買い換えサイクルが長期化するため、携帯電話のビジネスモデルにも影響を与える可能性もあるだろう。

芸団協実演家著作隣接権センター(CPRA)運営委員

椎名 和夫


スマートフォンと同じハンデ背負う

 音楽や映像を貯蔵して携帯できるというiPod本来の役割に、携帯電話機能が付いている必要は無いように思います。また「電池の持ちが悪い」というような話を聞くと、すでに日本でさまざま登場した一連の「スマートフォン」と基本的には同じハンデを負っていると思います。


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