更新:2006年6月5日 10:00インターネット:連載・コラム
グーグル覇権に挑むグーグル覇権に挑む(1)「日本企業、検索冬の時代」に終わりは来るか
かつて「独自の検索エンジン」の成功を夢み破れた日本企業が、再び立ち上がろうとし始めた。米グーグルという巨人がそびえる検索サービス市場。検索の対象がテキストから動画や携帯電話など多様なメディアに広がる中、独自の検索エンジンでグーグルの覇権に挑もうとする動きが同時多発的に起こりつつある。日本で始まった「検索エンジン国産化」の取り組みは実を結ぶ可能性があるのか。フランスや韓国、中国の検索サービス市場や開発の現場では何が起きているのか。インターネットの進化を左右する検索エンジンを巡る国内外の最新動向をリポートする。 ◇◇◇
「日本の検索エンジン開発はしばらく『冬の時代』が続いていた」 NTTで検索エンジンを長年開発してきた研究者はこう振り返る。グーグルの爆発的な成長を見せつけられたヤフーとマイクロソフトがサービスの開発競争に火花を散らす検索サービス。この世界的な競争の中で、独自エンジンからほぼ全面撤退してしまった日本企業の名前を耳にすることはほとんどない。 ところがここにきてフランスが国産検索エンジン開発に着手、日本でも国を挙げた同様のプロジェクトが生まれつつある。文字だけでなく動画や音声など新たな分野、パソコンだけでなく携帯やテレビ、カーナビなど新たな端末でも検索エンジンの重要性を見直す動きが出てきた。 ■検索エンジン「国産化」プロジェクト 「マルチメディア検索エンジンの開発基盤をオープンソースで作る」――。経済産業省が昨年末に立ち上げた、検索エンジンに関する研究会「ITによる『情報大航海時代』の情報利用を考える研究会」での議論がにわかに活気を帯びてきた。松下電器産業やNTTといったIT関連企業に加え、コンテンツ業界などさまざまな業界のトップ企業が名を連ねる。来年度にコンソーシアムを立ち上げるべく予算取り交渉の真っ最中だ。 フランス政府が発表した、2億5000万ユーロ(約350億円)を投入して取り組む国産検索エンジンプロジェクト「クエロ(Quaero)」も日本の関係者に大きな衝撃を与えた。フランスは米国同様、検索サービスでグーグルが圧倒的シェアを占める。クエロのプロジェクトリーダーである家電大手のトムソンの責任者はメールでのインタビューに答え「動画をはじめとするマルチメディアコンテンツは文化そのもの。多様なコンテンツへのアクセス技術は自ら持つべきだ」と意気込む。 パソコンを立ち上げて多くの人が真っ先に使うのが検索機能。最近では携帯電話のトップ画面へパソコン同様の検索欄を取り入れる動きも活発だ。「何を検索結果の上位に表示するのか」「何を検索対象からはずすのか」といった価値判断も含め、その中核技術が「パソコンのプロセッサーやOSのように一部の企業に独占されてよいのか」という危機感が、政府をも動かし始めた。 ■「勝負あった」・消えていった独立系 逆の見方をすれば、政府が動かない限り日本企業の「検索冬の時代」は続くという状況まできているともいえる。アルタビスタ、インクトゥミ、インフォシーク・・・。90年代後半、世の中に独立系検索エンジンはまだ数多くあり、競争を繰り返してきた。日本もNTTをはじめNECや東芝が自社で検索エンジンを抱え、ポータルサイトなどのサービスに応用してきた。 ところがグーグルの登場で、2000年ごろから業界地図は一変した。「関連する単語がいくつ入っているか」ではなく「メジャーなサイトからどれだけリンクされているか」という、サイトの人気度を測る独自の仕組みによって、グーグルは高い検索精度を実現。ヤフーも2000年に一度は検索エンジンをグーグルに切り替えた。「検索サービスそのものがビジネスにつながるわけではない」「もはや勝負あった。検索エンジンはグーグルに任せておけばよい」――。日本のポータルサイトも一気にグーグルへの切り替えを進めた。
風向きがふたたび変わり、検索連動型広告の成長で「検索は儲かる」との認識が広がってきたころには、日本のポータル各社は戦うための武器を奪われたも同然の状態だった。時価総額が1000億ドルを超えて成長するグーグルをただ見守るしかなかったのだ。 ● 関連記事● 記事一覧
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