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更新:10月11日 09:30インターネット:業界動向

金持ちgoogle、「安くはないが痛くもない」YouTube買収【コラム】

 検索エンジン最大手のグーグルは9日、動画共有サービスで有名な米ユーチューブ(YouTube)を買収すると発表した。設立して2年に満たないベンチャーのお値段は、16億5000万ドル(約2000億円)と、ウォール街の予想通り。ユーチューブはこれでグーグルの傘下に入るが、サイトやサービスの統合などはおこなわない。オフィスやブランド名、従業員なども現状のままで運営を続ける。注目の買収劇をどう受け止めればよいか。両社の周辺情報をもとに買収の意味と今後の展望を分析してみたい。(小池良次の米国最前線)

■ユーチューブ買収は「当然のニュース」

 米ウォールストリート・ジャーナル紙によれば、マイクロソフトやヤフー、SNSの「マイスペース・ドット・コム」を傘下に持つニューズ・コーポレーションなどが買収交渉を進めていたにもかかわらず、グーグルとユーチューブの買収交渉は短期間にまとまったという。通常、買収は買収相手の信用調査などいくつかの手順を踏むため数カ月はかかる。約2000億円の買い物を一気にまとめたグーグルの決断は異例といえる。

 とはいえ、米国ではユーチューブの買収自体は「驚き」よりも「当然」と受け止められている。同社は、昨年までIPO(新規株式公開)を狙う動きも見せていたが、上場環境が依然厳しいこともあり、今年に入ってネット業界で最もホットな買収対象として注目されていたからだ。利用者の急増が続いているためウォール街の買収予想額は次第に高まり、10億ドルを超えるとの噂が絶えなかった。また最近は、グーグルやマイクロソフト、ヤフー、ニューズ・コーポレーションなど大手が同社買収の打診を繰り返しているとの観測記事が飛び交っていた。

YouTubeの画面

 ユーチューブの視聴回数は1日1億回、投稿ビデオ数は同6万5000件を超える。同社の急成長に促されヤフー、グーグル、マイクロソフトなど主要ネット大手企業が今年に入って動画共有サービスに参入してきたが、開放的な利用環境が人気を呼び、常に業界をリードし続けてきた。一方、自由な利用環境のため、テレビ番組やミュージックビデオを使った違法コピーの温床として、大手メディアからのクレームが絶えなかった。同社は2年目に入り、こうした違法コピーの削除を強化するかたわら、音楽の合法利用や広告モデルの追求を始め、動画共有サイトのビジネスモデル確立を狙っている。

■「違法コピーの温床」批判を抜け出せるか

 ウェブビジネスにおける収益モデルは、電子商取引、広告、有料閲覧(サブスクリプション)に大別される。米AOLが無料化に踏み切ったように、有料閲覧モデルは衰退の傾向にあり、広告モデルの追求がウェブビジネスの主流となっている。その広告はバナー広告と検索連動型広告の2つに分かれる。前者は、無料コンテンツやサービスを使うユーザーに広告を見せるもので、基本的にはテレビなどと同じ「マスメディア型」と言える。そこでは「マイ・ヤフー」やMSNのように、大量のユーザーをコミュニティー化して、サイトの滞在時間を伸ばし、広告露出を上げる手法が確立されている。

 こうした従来型マスメディア広告の枠を打ち破ったのが、グーグルとヤフーが開拓した検索連動型広告だ。これは検索結果に合わせて広告を見せるだけでなく、クリックを通じてユーザーを広告主のサイトまで誘導する点で、従来の手法とは大きく違っている。ただ、バナー広告も検索連動型広告も一種の商業コンテンツであり、ユーザーが生成するコンテンツを使った広告モデルではない。ユーチューブが大手メディアに注目されるのは、このコミュニティーコンテンツにおける広告モデルを模索している点にある。

 広告モデルの追求にあたって同社は、自由な投稿環境を維持しつつ、違法コピーをなくす努力を始めている。設立当初から、違法コピー問題は同社を悩ませ続けてきた。これは、同じコミュニティーコンテンツを利用した収益モデルとして有名なイーベイの事例を考えると、その重要性がわかる。

 イーベイは設立当初、詐欺や不当表示などの悪質利用が大きな批判を浴びた。そのため同社は、ユーザーによるレーティングシステムや確実な課金処理(ペイパル)の導入、詐欺事件の追跡チーム強化などを通じて安全な取引環境の確立を進め、成功を収めている。ユーチューブが今後ビジネスを続けていくためには「違法コピーの温床」という批判をぬぐい去ることが欠かせない。

 ただ、興味深いのは単に違法コンテンツの削除を強化するだけでなく、同社が素人でも合法な映像作品を手軽に作成できる「環境作り」に着手していることだろう。これは9月18日にワーナー・ミュージック・グループとの提携で明らかにされた。発表によれば、ワーナーのミュージック・ビデオ・カタログをユーチューブに掲載し、ユーザーがそれらの素材を自らが作るコンテンツに取り込むことができる。また、同システムのために、ユーチューブはコンテンツ認証システムの構築(今年末までに整備予定)を進めている。同様の提携は、ユニバーサル・ミュージックやソニーBMG、テレビ局のCBSとも取り交わされている。

 なお、大手メディアとの提携により、ユーチューブはライセンス料の一部を手に入れることができる。

■新たな広告モデルの模索

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