更新:7月29日 08:49インターネット:最新ニュース
はてな流の拡大路線とは・近藤社長に聞く
「企画力や独創性だけでは勝負できない」――。はてなの近藤淳也社長が1年半の米国滞在から帰国し、本社を東京から創業の地である京都に移転して4カ月。自社開発路線を修正して他社との共同開発に取り組み、一般ユーザーの声を開発に取り入れるなど、早くも変化が見え始めた。東京オフィスを訪れた近藤社長に、はてなが何を目指すのかを聞いた。 ■求められるスペックが上がった
――協業路線に転換したのはなぜでしょうか インターネットのサービスは以前より求められるスペックがあらゆる面で上がっていると感じています。たとえばグーグルが膨大なリソースを検索に特化して注入したために、ユーザーの経験値が上がって、「検索サービスならこれだけの性能があって当然」と考えるようになった。逆に、期待通りのことが起きないと「欠陥品」ととらえられてしまう。原始的でも面白いアイデアを思いついたらその日のうちに社員が作ってしまう、という発想力やスピードだけでは勝負していけなくなってきました。 「人力検索はてな」のオープン以来7年間、世の中にない独自のサービスをいち早くユーザーに届けるということを続けてきて、社内には企画力、ウェブアプリ開発、コミュニティー運営のノウハウが相当蓄積されています。これらをしっかりとした技術基盤の上に再構築する必要が出てきました。PFIは検索に必要な自然言語処理や大規模な情報処理に特化して、はてなにはない技術を持っていたことが尊敬できたし、補完し合えると思います。 ――合同合宿で意気投合したそうですね
これまで他社との提携をしてこなかったのは、大企業と組んでスピード感が出せなくなるくらいなら自分たちだけでやりたい、という考えがあったからです。でもPFIとは予想以上にいい感じで進んでいます。最初、面白い技術を持っていると思ってこちらから声をかけたのですが、いきなり全社員が合宿に参加してくれて、3日間みっちり議論できました。今回のリコメンデーション機能も基本的な部分は合宿中に完成しました。 ネットに対する姿勢に共感できたことも提携の大きな理由でした。はてなは、見たこともないものを作って世の中の仕組みを変えていこう、売り上げは後からついてくるだろう、という考え方で、ビジネスモデルありき、ではありません。シリコンバレーではこういう考え方のベンチャーが山ほどありましたが、日本ではとても少ないですね。 ――近藤社長が米国滞在中、インパクトのあるサービスを繰り出すスピードが少し落ちていたようにも見えますが ブログなど個別のサービスを見ると、はてなよりももっと伸びているものもあります。差をあけられてしまったのは反省しています。リソースをうまく集中投下できなかったからです。 新しいサービスを立ち上げるとき、素質のある個人が没頭して、誰も見たことのないようなものを作り上げる――といったやり方に偏りがちで「組織的なものづくり」というフェーズへの移行に出遅れた部分はありました。今回の提携や人材の拡充で、資源を集中できるようになります。 ■ユーザーの声を拾いに街に出る
――はてなはこれまでも「ユーザーと一緒に開発する」がキャッチフレーズでしたが ネット上では「はてなアイデア」などユーザーの意見を吸い上げる仕組みを続けています。しかしこれまでのやり方では、はてなユーザー以外の人にはアプローチできていませんでした。帰国したら必ずやろうと思っていたのが一般ネットユーザーへのヒアリングです。 はてなクラブでは京都の本社にネットユーザーの方に来てもらって、リリース前のサービスを体験してもらいます。これまでは「ここの機能はこの方がいい」というのを経験則から判断するしかなく、いつもどこかに不安があった。でも一般の人に聞いて数十人が「こっちの方がいい」と言えば迷いがなくなるということがわかった。 さらに、京都駅や大学のキャンパスで通りすがりの人をつかまえて、携帯などの使い方を聞いて回っています。私も何度も声をかけては怪しまれるというつらい思いをしましたが・・・、やってみると驚く発見があります。話をするうちに、ユーザー本人も普段気づかなかったような不便さを一緒に発見したりする。こうやって一般の人の意見を聞くことを開発プロセスに必ず組み込むことにしました。 ――一般ユーザーにターゲットを広げるということですか? 現在はてなの登録ユーザーは80万人程度、月間のユーザー数は1000万程度ですが、企業として成長するためには利用者をもっと増やしたい。ただ、ブックマークする人や日記を書くコアなユーザーは限られます。 そこで、当初は「登録ユーザー1000万人」を目指すといっていましたが、帰国後「コアユーザーである登録ユーザー300万と、はてなにアクセスするユニークユーザー2000万人」というふうに修正しました。登録者数はもちろん増やしたいですが、そこで生まれるコンテンツももっと幅広く使ってほしいという意味です。 次ページ:サービスの方向性は変わるのか? ● 関連記事● 記事一覧
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