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更新:1月5日 10:20インターネット:最新ニュース

インタビュー2009(1)ウェブデザイナーの中村勇吾氏「旧世代サイトを見直したい」

 厳しい経済情勢のなかで始まった2009年。シリーズ「インタビュー2009」はIT業界で活躍するキーパーソンや識者に09年の展望やITの未来を聞く。1回目はNECの環境キャンペーンサイト「ecotonoha(エコトノハ)」で世界的に脚光を浴びたウェブデザイナー、中村勇吾氏。

 中村氏は自らフラッシュのプログラミングを手がけ、独自のデザインの道を切り開いてきた。参加者が書き込んだメッセージの言葉が木の葉のように連なっていくエコトノハは、世界3大広告賞でグランプリを受賞した。中村氏にウェブデザインの今と未来を聞いた。

2008年8月に公開したモリサワの「fontpark2.0」。ユーザーは日本語の文字をばらばらにしたパーツを組み合わせて自由に絵を描ける。サイトにはユーザーが登録した作品が公開されており、完成までの過程をアニメーションとして見られる

■漢字をばらばらにして再構築

――昨夏、デジタルフォント開発のモリサワのウェブサイトに参加型コンテンツ「fontpark 2.0」をオープンしました。ユーザーがサイト上で日本語の文字をばらばらにして、自由に絵を作ることができます。これはどういう発想だったのでしょうか。

 日本語のタイポグラフィーとして、デジタルでできる範囲でよさを出すことを考えました。日本語がアルファベットと違うのは、いろんなパーツに分かれていて、辺や部首が意味を持っていることです。割と構成的にできている。

 デジタルタイポグラフィーという案は元々考えていて、仕事を抜きにして個人で作ってみたこともあるんです。漢字やひらがなをばらばらにして再構築できたら面白いなと思っていました。でも、フォントデータを分解するので、ちょっと著作権違反になるんですよ。「これで堂々とできる!」と喜びました(笑)。

――アイデアは元々温めていたんですね。

 コアなアイデアはあったので、このサイト向けに、みんなで投稿してやいのやいのする仕組みを考えました。

 最初は「連画」のようなアイデアを思い描いていたんです。和歌で連句ってあるじゃないですか。上の句を詠んで、それに対して下の句を詠む。同じように、前の人が作ったグラフィックを次の人に引き継いで、次の人はそれを出発点にいろんな再編をしてさらに次の人に渡す。人が関わりながら連続したアニメーションができるかなあと考えていました。

 ただ、最初に訪れたユーザーにはちょっと難しいかなあという懸念がありました。初めて見るものが多すぎて、なんじゃそれっ、となりそうだったので。それで連なっていく機能は省き、それぞれのユーザーが作った過程をアニメーションのコンテンツとして見せることにしました。

■インターフェースマニアなんです

――ユーザーが実際に関わるという仕組みを大切にしているのでしょうか?

 比較的、そういう側面があります。コンテンツとして決まりきったものを見せるのではなく、ユーザーと関わることで自動的にどんどん変わっていく仕組みですね。

 新鮮さを失わないために利用している部分もありますし、仮説として、見たり聞いたりするだけでなく、実際に使ったり触ったり考えたりしてもらうことでユーザーとより深く関われるという面もあります。よく言われてはいますが、僕自身はどこまで効果的なのかがよく分からないままなのですが…。

――これまでの制作過程で身に付けた原則のようなものですか?

 あまり確証はないですね。ただ、触れるという、いわゆるインターフェースの次元で何か表現できるものがないかというのが、僕の中に枠としてあるんです。だからやっているということですね。

 企業とユーザーとのコミュニケーションといった大上段で降りてきて、結果的にインターフェースデザインに行き着いたのではない。インターフェースマニアなんです。その枠の中でもうちょっとそれを広げようという感じでやっています。

 インターフェースマニアというのは、いま初めて言ったのですが(笑)、もうちょっと定義づけると、コンピューターで表現されるもの全般のマニアですね。CGのようなものは抜きにして、リアルタイムにCPUのなかで繰り出される動きやインタラクティブ、アプリケーションをひっくるめて、どういう面白いものができるかということをメーンのとっかかりにしています。

■「はまりパターン」を見つけたい

――エコトノハはウェブデザイン会社から独立した後の作品ですが、ご自身の転換点となる作品なのでしょうか。

 世の中に受けた、という感じですね。

 ある時期から、ユーザーの参加をエンジンにしてぐるぐると回っていく表現に興味を持っていたのですが、それは人に受けて使ってもらわないと回らない。仕組みだけが重要なのではなくて、もっとポップだったり、キャッチーだったりする必要があるなと感じていました。そういう壁にぶち当たっていたんです。

 エコトノハはそのなかで比較的うまくいった作品でした。ああ、そういう感じでやったら結構受けるのね、と思える「はまりパターン」がひとつ分かったということです。

――はまりパターンとは具体的にはどういうことでしょうか?

 エンジンのようなイメージなんです。

 人がぱっと見て面白いと感じる。何か参加できるっぽいぞ、触れるっぽいぞ、と思って触ってみた結果が、きちんとフィードバックされる。次に来た人は、なるほど人がたくさん来ているんだと知って、自分も参加してみる。

 このように、あるユーザーが来てから去っていくまでのいいサイクルを作れると、それが全体的に回りだします。そういう一人ひとりのユーザーの関わり合いを一番いい感じでぐるっと回るエンジンにできると、人も回る。

 これは、いわゆるコミュニティーサイトすべてに当てはまる話です。ミクシィなどがやっていることを、テキストベースではないやり方で回していきたいと考えています。

――エコトノハはひとつの答えだったんですね。

 僕は何かを新しく生み出すということはたぶんしていないと思うんですが、スパゲッティーとタラコは意外に合うよね、といった組み合わせを探すのが結構好きなんです。これとこれとこれの組み合わせははまるというような、いろんなはまりパターンを見つけたい。

 インターネット上でいろんな人がいろんな面白いことをやっていますが、その通りに作る必要はない。ちょっとタラコを合わせてみたらいいんじゃない?といった、ちょっとした提案ができればと思っています。

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