更新:8月25日 10:00インターネット:最新ニュース
「日本のウェブ広告は世界一」カンヌ国際広告祭を審査した伊藤氏に聞く
ユニクロのウェブ広告「UNIQLOCK(ユニクロック)」が世界の3大広告賞を制覇するなど、今年はインターネット広告の世界で日本勢の活躍が目立つ。ネット部門を中心に海外の広告賞の審査員を数多く務めた伊藤直樹氏に世界の潮流と日本の強みを聞いた。 伊藤氏はアサツーディ・ケイ(ADK)から独立し、現在はインターネットやテレビを使った総合的なキャンペーンの企画を手がける。サイバー部門の審査員を務めたカンヌ国際広告祭では、自らの作品となるソニーの「REC YOU」がUNIQLOCKと並ぶグランプリ候補となった。 ■第一線で活躍する審査員が勢ぞろい ――伊藤さんは今年、カンヌ国際広告祭、米クリオ賞の審査員を務めました。審査の現場の雰囲気はどうでしたか。 いやあ、面白いですね。世界の一番イケてる広告を一堂に見られますし、世界で一番イケてる審査員たちと話ができます。友達になったり、何を考えているかを知って刺激を受けたり――。審査そのものというより、こういったことが有意義ですよね。 例えばクリオ賞はアメリカのリゾート地で10日間くらい合宿をします。今年は、宮沢りえの写真集で有名になったサンタフェに審査員が集まりました。砂漠の中に高級リゾートがあって、休みの日にはホテルで飼っている馬に乗ってトレッキングをするんです。面白かったです。 ――何人で審査するのですか。 だいたい20人から25人くらいです。カンヌ国際広告祭では23カ国から25人が集まりました。出身国は欧米だけでなくインド、韓国、アルゼンチン、ブラジルなどばらばらでした。やはり英語を流暢にしゃべれるかどうかという言葉の問題があるので、ロンドンかニューヨークの人がリーダー役になることが多いです。 ――カンヌではどのように審査を進めたのでしょうか。 インターネットを使った広告は自分で触って確かめないと審査できないので、まずはオンライン審査をします。会場にはパソコンが何十台も置いてあり、審査員はパソコンの前に座って広告を実際に試し、ポイントを付けていきます。ここから入賞候補となる200以上のファイナリストを選びます。 最終審査では金・銀・銅の入賞とグランプリを決めます。ここで25人が話し合いをします。グランプリ候補として残ったのは日本勢ではUNIQLOCKとREC YOUの2つです。 ■日本は技術とデザインのバランスが最高 ――今年はどのような作品が評価されたのでしょうか。 3年前だとバナー広告が面白かったのですが、あまり評価されなくなりました。今、対象となるのはサイトです。特に、サイトだけで完結するのではなく、ブログパーツを連動したUNIQLOCKのように、何かを複合的に組み合わせてキャンペーン化した作品が評価されています。 ――国による勢いの差はありますか。 日本は今、世界一ですよ。日本人は謙遜したり海外のことばかり見たりするんですが、これは強く言いたい。受賞作品のクオリティーとグランプリを受賞したことを見れば、文句なく1位です。UNIQLOCKやREC YOUのようなキャンペーンは世界で誰も実現できていないんです。
――UNIQLOCKやREC YOUに対する審査員の反応はどうでしたか。 驚くも何も大絶賛でしたよ、グランプリをとったほどですから。中村勇吾さんの「エコトノハ」がグランプリをとった時もそうでしたが、グランプリや金賞をとる作品は絶賛の嵐を受けるものなんです。それがリアリティー。イチローの3000本安打と同じことです。 例えば、UNIQLOCKはブログパーツを使って、広告主とユーザーを直接つなぐメディアの回路を持ったことが革命だった。ユニクロは放送局のように、ブログパーツという四角い枠の中にコンテンツを供給し続けられる。時計をやめて他のコンテンツを流してもいいんです。ブログパーツを発見したわけではないですが、広告としてブログパーツを初めてうまく活用した例なんですよ。 ――今年は日本の作品が多く受賞しましたが、日本勢は何がずば抜けていたのでしょうか。 技術とデザインのバランスが最高にいいですね。広告は体操やシンクロナイズドスイミングと同じで、1位といってもいろんなポイントの中での総合力を指しています。技術得点は最高だし、技術をデザインに転換するバランスがいい。アイデアもしっかり入っているし、感情も入っている。 UNIQLOCKとREC YOUのしかけの細やかさと大胆さは、日本人のメンタリティーならではだと思うんです。この分野は結構、日本人に向いているんですよ。 ――ウェブキャンペーンは繊細さが求められているということですか。 そうです。アイデアだけではなくてシステマティックに考えなくてはいけない。プログラム的な思考が大事なんです。 海外の人は「もっとシンプルにいこうよ」なんてすぐに言うんですが、僕らからすると、細かいことをきちんとやらないから大雑把になっちゃうんだよって思います。でもそれはメンタリティーなのでしょうがない。 次ページ>>広告業界より広告主の方が進んでいる!? << 前のページへ 1 [ 2 ] [ 3 ] 次のページへ >> ● 関連記事● 関連リンク● 記事一覧
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