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更新:7月29日 13:45インターネット:最新ニュース

世界が狙う3G時代の中国携帯市場 日本勢に活路はあるか

 中国の携帯端末市場が熱を帯びている。先進国の市場が不況で冷え込むなか、中国はインドと並び高成長を続け、海外メジャーと中国系企業の競争が一段と激しくなってきた。2G時代から3Gへと市場環境が大きく変わるなか、業界の勢力図はどのように塗り替わっていくのか。(肖宇生)

■成長続ける中国市場

 世界同時不況の余波を受け、2009年第1四半期の携帯端末メーカーの世界出荷量は前年同期比15.8%減の2億4480万台と大きく沈んだ。そのなかで、中国国内販売台数は5800万台と好調で、09年の販売台数は前年度比7.8%増の2億3800万台に達するとの予測もある。中国市場が世界に占める割合も18%から21.6%に跳ねあがることになる。

 中国市場の高成長は新規ユーザーの加入と既存ユーザーの買い替えの両輪によるものだ。今後3年で中国の携帯ユーザー数は8億〜8億5000万に達するともいわれる。このうち3G携帯の比率は30%と予測されており、3Gの普及に伴い買い替え需要はさらに高まる。世界のメーカーが中国でしのぎを削るのも当然のことだろう。

■中国メーカーが躍進

 3G時代の到来で、市場シェアにも変動が見られる。これまではフィンランドのノキアをはじめ、韓国サムソン電子、米モトローラ、英ソニー・エリクソンなどの世界メジャーが上位を独占していたが、今年に入り様相が変わってきた。第1四半期の販売台数シェアで、中国の新興企業である天宇朗通が初めてモトローラを抜いてノキア、サムソンに次ぐ3位に躍進したのだ。

 天宇朗通は新興企業でありながら、ここ数年着実にシェアを伸ばしてきた。特に07年には1年間で80モデルを一気に送り出し、豊富なラインアップで市場に浸透した。

華為技術の本社〔ロイター〕

 海外市場も含めれば、ZTE(中興通信)が中国系端末メーカーのトップに立つ。09年第1四半期の出荷台数は海外を含めて720万台で、前年同期比30%増加した。2位の華為技術も660万台と競っており、このままいけばTZEも華為技術も年間世界トップ5に入る可能性があるといわれている。

 TZEと華為技術は、世界的な通信設備メーカーとしての開発力やキャリアとの強固な関係を生かし、キャリア仕様の端末販売を伸ばしている。一方、新興メーカーである天宇朗通は新製品を次々に投入して店頭での存在感を高めている。バックグラウンドは異なるが、それぞれの技術力や機動力を生かした開発・販売戦略で上位をうかがう。3Gの普及に伴い、中国系メーカーの勢いはさらに増していくだろう。

■3大キャリアの端末戦略は?

 中国の3Gは今年解禁となり、5月までに中国3大キャリアのサービスが出そろった。2G時代のガリバーであるチャイナモバイルは中国独自規格「TD-SCDMA」、2位のチャイナユニコムは「W-CDMA」、3位のチャイナテレコムは「CDMA2000」である。この異なる規格に合わせた端末の開発・調達、3Gならではのサービスが普及の鍵であり、3キャリアの競争も激しくなってきた。

 TD-SCDMAを担うチャイナモバイルはやはり開発面でハンディを負っており、端末不足という問題に直面している。そのため、強固な財務基盤を武器にメーカーに開発費用を補助する一方、数少ない機種を拡販するため「ゼロ元携帯」も売り出した。一方、世界規格の端末を調達できるチャイナテレコムとチャイナユニコムは、今年後半に向けて大量のラインアップをそろえ、先行優位を築こうとしている。

 流通チャンネルにも変化が見られた。チャイナテレコムとチャイナユニコムはメーカーやモデルの選定こそ公開入札方式で行うが、販売は一部のハイエンド機種を除いて代理店に任せている。これに対してチャイナモバイルは、今のところキャリアが仕様を決めて発注する集中購買式を取る。こうした販売戦略の多様化にいかに対応するかも端末メーカーの浮沈につながるだろう。

■覚悟問われる日本メーカー

 この中国携帯市場で、日本メーカーとして孤軍奮闘するのがシャープだ。約3年前、京セラを最後に姿を消していた日系メーカーだが、08年にシャープは液晶テレビ「AQUOS」のブランドを前面に中国に再上陸してきた。日本市場が低迷するなか、NECやパナソニック、富士通なども中国再進出を模索しているといわれている。

 日本メーカーは00年前後に、最先端の端末を中国に持ち込んで旋風を起こした。しかし、今や市場環境は大きく変わっている。当時の日本メーカーはデザインや性能において圧倒的な強さを誇っていたが、その距離は急激に縮まった。特に目に見える液晶やカメラ、デザインなどの部分では、欧米系と中国系でほとんど差が感じられない。もちろん、おサイフケータイやワンセグといった日本のキラーアプリケーションはあるが、その強みをどこまで生かせるかは中国のキャリア次第だ。

 日本メーカーにとっては、中国のキャリアとの関係強化、ブランドの再構築、市場ターゲットの特定、流通チャンネルの確保など課題が山積みだ。それらにどのように資金を投じればもっとも効果的かを見極めるノウハウも蓄積していかなければならない。

 中国市場はいまや大きく成長し、世界最大になった。一方、日本メーカーは商品力での優位性が薄れ、財務基盤や経営資源もライバルと比べて見劣りしており、中国上陸は前回よりも厳しいと言わざるを得ない。長期的に見て海外に打って出るしか選択肢が残されていない日系メーカーが中国で成功するには、今まで以上の覚悟が必要だろう。

[2009年7月29日]

-筆者紹介-

肖 宇生(しょう うせい)

日本総合研究所 総合研究部門 主任研究員

略歴

 1991年中国の大学を中退、来日。92年大阪大学経済学部に入学、96年卒業後に金融機関を経て99年一橋大学大学院経済学研究科に入学、修士号を取得。2001年大手電機メーカーで中国向けの携帯ビジネスに携わる。2003年に野村総合研究所に入社し、中国に進出する日系企業を対象にしたコンサルティング業務に従事。日興アントファクトリーに移り、海外市場向けのベンチャーキャピタル投資に携わった後、2009年に日本総合研究所に入社、中国市場における経営コンサルティングサービスを担当。

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