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更新:3月24日 10:29インターネット:最新ニュース

「名を捨て実取った」グーグルの携帯キャリア撤退

 3月18日、米国ではアナログテレビ放送跡地を巡る免許競売、通称「700MHzオークション」がようやく終わった。話題の多い今回の競売だが、なかでも鳴り物入りで参加したグーグルが1件の免許も落札できず撤退したことは大きな注目を集め、悲観論や懐疑論など様々な分析が飛び交っている。

 同競売は1カ月を超える長期戦となり、総落札価格は予想を大幅に上回る約2兆円に達した。果たしてグーグルは敗北したのか、それとも勝利したのか。700MHzオークションの結果を分析しながら、その真相を探ってみたい。

■台風の目だったグーグル

 米国ではあと1年足らずでアナログテレビ放送が停波し、デジタル放送へと全面移行する。今回FCC(連邦通信委員会)が行った無線免許競売は、空き地となるアナログテレビ帯域を次世代モバイルサービスに再利用することが目的だ。1月から始まった競売には214社が参加し、大手携帯電話会社に混じってマイクロソフトの創設者ポール・アレン氏が率いるバルカン・ベンチャーや石油メジャーのシェブロン、衛星放送大手のディッシュ・ネットワークスなど多彩な企業が顔をそろえた。なかでも注目を集めたのが検索エンジン・ネット広告最大手のグーグルだった。

英ARM社が2月、スペインで開かれた「モバイルワールドコングレス」で展示したグーグルの「アンドロイド」のプロトタイプ機[ロイター]

 グーグルは今年に入って独自の携帯OS(基本ソフト)「アンドロイド」を発表したほか、海底ケーブルの建設計画にも参加するなど、通信プロジェクトを積極化させている。今回のオークションでも昨年の競売ルールの策定において、ネットワークの開放義務(オープン規制)やブロードバンド競争の活性化のための第3世代(3G)事業者の排除、新規参入を容易にする全米一括免許導入など、従来の常識を覆す提案を突きつけ、FCCを振り回してきた。

 こうした交渉の過程では、グーグル自身が要求した条件を満たして競売に参加し、免許枠(Cブロック)獲得のための最低落札価格(約4600億円)を保証することなどを臭わせながら、FCCへの強固な姿勢を示している。そうした背景もあり、今年1月から始まった競売ではグーグルが携帯電話会社を相手に、全米50州をカバーする広域免許であるCブロックのうちどこまでのライセンスを獲得するかに注目が集まった。

 ただ、今回の競売では競売者の実名を公表せず、すべてコード名で行う匿名競売(Anonymous auction)ルールが適用されたため、競売過程では各社の状況がわからなかった。そして38日間続いた競売は3月18日にようやく終了し、FCCは20日に詳細な結果を公表した。

■グーグルの撤退に安堵広がる

 今回のオークションでは、全参加企業のうち101社が1件の無線免許も得られず敗退している。注目を浴び続けたグーグルも、その1社となった。専門家の分析によれば、地域や規制の異なるAからEまで5ブロックに分けられた免許のうち、グーグルは予想通り新規参入事業者にとって魅力のある広域免許のCブロックに集中して応札し、最初に最低落札価格の札を入れたのも同社だったようだ。しかし、最終的には携帯電話業界第2位のベライゾン・ワイヤレスがハワイなど一部の地域を除いてCブロックすべてを買い、圧勝した。

 皮肉なことに、こうした結果発表に驚く業界人は少なく、逆に多くの関係者はグーグルの本音を知って安堵した。

 私を含め、グーグルが携帯網建設をめざすことに疑問を持つ人は多かった。携帯ネットワークの整備は、長期で巨大な投資を伴う。もし、グーグルがCブロックをすべて買い、全米レベルの無線網を建設するとなれば、数兆円の投資は避けられなかっただろう。しかも、通信分野の政府の厳しい規制にも対応しなければならない。

 確実な利益と急成長が求められている現在のグーグルにとって、こうしたビジネスが不適切なことは明らかだ。それにも関わらず、なぜグーグルはネットワーク建設に高い関心を示すのだろうか。それは「通信事業者の干渉から収益の柱である自社のネットビジネスを守る」ためと言えるだろう。

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