更新:11月8日 17:43インターネット:最新ニュース
「議論尽くさない著作権保護期間の延長にNO」・作家や弁護士らが団体発足
著作権管理団体などが音楽や絵画などの著作権保護期間を現在の死後50年から同70年に延長するよう求めていることに対し、慎重な議論を呼びかける団体が8日、作家や弁護士らが中心となって発足した。文化庁に保護期間延長についての議論を求める要望書を同日提出。今後シンポジウムなどを通じて問題提起する。インターネットなどで過去の著作物を利用できる機会が増えるなか、権利の保護強化を訴える立場と利用促進を図るべきとする立場の間で議論が本格化しそうだ。 64人の発起人を集めて設立したのは「著作権保護期間の延長問題を考える国民会議」。8日に都内で開いた記者会見で、世話人の骨董通り法律事務所弁護士の福井健策氏は「20年延長してもクリエイターの創作意欲が高まるとはいえない。結局誰のためにもならない」と権利保護強化についての疑問を投げかけた。 欧米で保護期間を死後70年にする国が増えていることについて福井弁護士は「70年としているのは著作権に関する国際条約『ベルヌ条約』加盟国の3分の1にすぎない」と指摘。「著作権を巡る過去10年で最大の問題」だとして、延長問題をきっかけに著作権と文化のあり方を広く考える機会としたいと述べた。
発起人として参加した劇作家や美術作家のなかからは、自分の作品が著作権法で守られる立場にも関わらず、保護期間について「死後50年でも長すぎる」「作品が生まれてから50年ぐらいでいい」といった意見も出た。福井弁護士も「クリエイターの多くは保護期間延長に疑問を抱いているのでは」と話した。 劇作家の別役実氏は宮沢賢治の小説「銀河鉄道の夜」を戯曲に使いたいと長年交渉したが、著作権保護期間が切れるまで使えなかったという体験談を披露。「その後アニメや劇などさまざまな形でシナリオとして使ったことで、原作自体が活性化したはず」として、期間延長の効果への疑問を語った。 著作権切れの小説などをネットで公開する「青空文庫」を運営する富田倫生氏は「保護期間延長は文化財の価値を大きく削ぐ可能性がある」と指摘。過去の小説をネットを利用して提供することで、お年寄りなどにも文字を拡大して見せたり点字にして読めるようにしたりできるメリットを強調し、「著作権制度は幅広い利用を促進することが目的のはず」と訴えた。 日本文芸家協会などが組織する「著作権問題を考える創作者団体協議会」は9月、著作権保護期間を作者の死後70年に延長するよう文化庁に要望した。映画に関しては既に日本でも70年に延長されている。 ● 記事一覧
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