更新:7月10日 16:00インターネット:最新ニュース
「経緯は知らぬ」「言い逃れだ」・コピー補償金問題、10日再開の審議は大荒れ
ダビング10問題との関連で開催が延期されていた文化審議会著作権分科会の私的録音録画小委員会が10日、都内で開かれた。前回会合で文化庁が示した、iPodなども補償金の課金対象とする折衷案に機器メーカー側が真っ向から反対を表明。権利者側も「(メーカーがそういう態度なら)ダビング10を解消してコピーネバーにするしかない」など激しく応戦し、議論はこう着状態に陥った。 機器メーカーと著作権者側で対立の続いている補償金制度について、文化庁は前回会合の5月8日に「制度の縮小を前提としながらもiPodやハードディスクレコーダーを新たに課金対象とする」という案を提示。ところが、地上デジタル放送の複製回数を大幅に緩和するダビング10の開始の是非を巡る混乱で、一時議論が中断していた。権利者側が補償金の議論とダビング10を切り離すことで譲歩したため、補償金については小委員会で議論が続けられることになっていた。 10日に2カ月ぶりに開かれた小委員会では冒頭、文化庁案について前回会合で寄せられた質問に文化庁著作権課著作物流通室長の川瀬真氏が回答。機器メーカー側や消費者団体らが「制度が縮小する筋道が見えない」「パソコンなど汎用機にも今後対象が拡大しかねない」などと指摘していることについて、拡大にはあたらない、とあらためて説明し、文化庁案の実現に向け理解を求めた。
これに対し機器メーカーの業界団体である電子情報技術産業協会(JEITA)は「補償金制度の論点についてのJEITAの見解」と題する資料を配布し、具体的な論点を挙げて反対意見を表明した。JEITAの長谷川英一常務理事、亀井正博著作権専門委員長は「技術的に権利が保護されたコンテンツに補償金をかけることは二重課金」「機器の機能は多様化するので対象機器拡大の懸念は残る」「ハードディスク内蔵型機器の多くはタイムシフト・プレイスシフトに使われるため対象機器とすべきでない」「レンタルCDからのコピーは事業者や消費者との契約で対価を徴収すべき」などと述べた。論点は従来からの主張の繰り返しだが、独自に実施した消費者へのアンケート結果を紹介し「消費者のほとんどは補償が必要となるような使い方をしていない」と訴えた。
機器メーカーの主張に対し、権利者側はそろって反論を展開した。口火を切った実演家著作隣接権センターの椎名和夫運営委員は「ダビング10の開始を決めたとき、『権利者への対価の還元が前提』という話になったが、JEITAはその場で反論しなかった。それをいまになってなぜ対価は不要と繰り返すのか」と説明を求めた。亀井氏が「経緯は承知していない」と返すと「言い逃れだ。それは通らないでしょう」「後出しだ。フェアじゃない」とヒートアップ。議長が制止する場面も見られた。 日本映画制作者連盟の華頂尚隆事務局次長は「補償金をなくせというのならばダビング10を解消してコピーネバーにするしかない」と訴えた。「公共性の強い放送はともかく、映画は本来保存されてはいけないものだ。ブルーレイ・ディスクはダビング10開始で売り上げを伸ばしているようだが権利者には一文も払わないというのはおかしい」と語気を強めた。一方、JEITAの亀井氏は「メーカーの役割はよい視聴環境を整えて(コンテンツを)社会に広めること。利益はその見返りだ」と反論。メーカーと権利者の議論の応酬に、主婦連合会の河村真紀子副常任委員は「補償金は本来、権利者の遺失利益を補うものだったはずなのに、利益の取り合いの議論に終始している」とクギを刺した。 ジャーナリストの津田大介氏も「権利者は映画は映画館、音楽はステレオの前でしか聴くなというのか。時代錯誤の主張だ」とユーザーの立場から発言。一方で「補償金なしでいくらでもコピーしてよいとまで主張するユーザーは少ないのでは」と補償金制度への理解も示し「現状の制度に問題はあるが、著作権保護技術のないものについては自由なコピーを認めるかわりに補償金をかけるということも解決策なのではないか」と問いかけた。
このあとも権利者側からはJEITA側へ「2年前の態度に戻ってしまったのはなぜか」「我慢してきたが、これでは権利者の不満を抑えきれない」などの意見が次々と飛び出したが、予定時間を超過し、ひとまず委員会は終了となった。 文化庁の川瀬室長は「来年1月までには議論をまとめたい。ただ、きょうの議論で、メーカー側も権利者側もこの場でまとめる意思があるのか、ということから確認する必要が出てきた。文化庁の調整能力がないといわれればそれまでだが・・・」と困惑を隠せない様子だった。次回の議論は「秋には開かないと間に合わない」(川瀬室長)というが、見通しは立っていない。 [2008年7月10日/IT PLUS] ● 関連記事● 記事一覧
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