更新:6月25日 11:45インターネット:最新ニュース
人脈の質を保つ仕組み・ビジネスSNSのLinkedIn(2)
米国で急成長するビジネスSNS[LinkedIn(リンクトイン)」のネットワークを支えるのが、「人脈の質」を保つ仕組みだ。仕事に使えるネットワークを担保できるよう、様々なルールを設けている。ビジネス目的に特化することで生まれたこれらの仕組みが、求人や広告媒体としてのLinkedInの価値を高めることにもつながっている。(折田明子・中央大学助教) <連載1回目:「ビジネス利用に特化し急成長・ビジネスSNSのLinkedIn(1)」> ■プロフィルの閲覧範囲を限定 LinkedInでは、自分の「ネットワーク」に属さない人のプロフィルを見ることはできない。ここでいう「ネットワーク」とは、自分と直接つながっている「1st」コンタクトを基点とした、「2nd」コンタクト(知人の知人)、「3rd」コンタクト(知人の知人の知人)に含まれる人脈を言う。 3rdコンタクト以内に含まれるユーザーならばプロフィルを見ることもできるし、知人を介してメッセージを送ることもできる。言い換えれば、直接の知り合い、または知り合いを介した関係以外からは、むやみに未知のメッセージを送りつけられる心配はない。
自分が直接持っているネットワークの数が増えるほど、メッセージを送ることができる範囲は爆発的に増大する。図2は筆者がLinkedInで持っているコンタクト数と、ネットワークの状況だ。直接のコンタクトは33人にすぎないにも関わらず、筆者の知人の知人は2200人以上、さらにその先の知人までたどるならば、32万人もの人のネットワークにアクセスが可能なことがわかる。 ■ 人脈を保証する仕組み 人脈を広げるためには自分の「1st」コンタクトを増やす必要がある。そのためには、(1) 名前や所属で検索する (2) 友人のコンタクトリストを調べていく、という主に2つの方法がある。後者のコンタクトリストは、人によっては非公開にしているので、名前での検索が主になるだろう。実名を登録する理由はそこにある。 一方で、LinkedInはコンタクトリストの乱造を許してはいない。ビジネス利用に堪える人脈をつくるために、なんらかの形で身元を保証している。実際に、検索して見つけた相手をコンタクトリストに追加する際の3つの方法を見てみよう。 1つ目は、有料会員向けのプレミアムサービス加入者が利用できるもので、LinkedInのフォームを通じて、相手に直接メッセージを送ることができるサービスである。プレミアムサービスを使うためには、クレジットカードによる支払いが必要なため、クレジットカード所持者という意味で身元が確認されている。
2つ目は、「Get introduced through a connection」、つまり知人の知人(「2nd」コンタクト)、や知人の知人の知人(「3rd」コンタクト)の相手に対し、介在する知人を経由して連絡を取るという方法である。図3を例に説明すると、自分からEさん(2nd)に連絡を取る場合、Eさんとは直接の知り合いではなくても、自分の知り合いであるAさんとBさんはEさんの知り合いであることが表示される。 ここでBさんを紹介者として選ぶと、自分からBさんに「Eさんを紹介してほしい」旨のメッセージが送られる。LinkedInからメッセージを受け取ったBさんは、Eさんに紹介してもよいと思えばメッセージをEさんに転送してくれるだろう。もちろん、「この人は紹介したくない」と思えば、拒否(reject)することができる。ここで、自分の「1st」コンタクトの数、すなわちネットワークの規模が効いてくる。
3つ目は、かつて所属していた学校、組織、仕事といった共通項を元に連絡を取る方法である。例えば同じ大学の出身者であれば、「Classmate」の項目のプルダウンに表示される出身大学や学校のリストから、該当する大学を選べばよい。もちろん、同級生としての関係よりも別の関係の方がふさわしければ、選択し直すこともできる。同じ大学出身で、現在は同僚であれば「Colleague(同僚)」を選択してもかまわない。 上記以外に共通項がみつからない場合には、相手のメールアドレスを知っていなければ、メッセージを送ることができない。 このように、LinkedInではただやみくもにコンタクトリストを増やすのではなく、あくまで信頼できる「trusted」な人脈を築くための仕組みを用意している。ほかのSNSと比べると厳しい運用ではあるものの、信用を担保した「使える人脈」づくりを目指していると言えるだろう。 こうした「使える人脈」は、必ずしも転職のような節目に限らず、いろいろな使い方ができる。たとえば、これから初対面の人とアポイントがあるとき、あらかじめLinkedInでプロフィルを確認したり、共通の知人の存在を確認したりすることができる。「○○さんのことはよく知っています」という雑談が、初対面の人との距離をぐっと縮めるといったことは誰でも経験があるはずだ。 私の経験からも、執筆を頼みたい、論文の査読を頼みたいといった際に、ふさわしい経歴の持ち主に対するアプローチの手がかりとなることがある。もちろん、企業との提携や転職の際に、その企業に属する人物を探し、自分の知人や共通項を介して連絡を取ることも可能だ。「○○さんのご紹介で‥」「△△出身の者です」といったアプローチは、ある意味きわめて日本人的なものかもしれない。 次ページ:■ ビジネスモデルを支える3つの収益源 ● 関連記事● 関連リンク● 記事一覧
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