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更新:5月15日 09:00インターネット:最新ニュース

「クールでセクシー」に魅かれてグーグルから次々移籍・フェースブックの正体(2)

 注目を集めるフェースブックを支えるのはどんな人たちなのだろうか。一番有名なのはもちろん創業者でCEOを務めるマーク・ザッカーバーグ氏だ。1984年生まれの24歳で、ニューヨーク市のすぐ北にあるダブスフェリー市の出身。フォーブス誌が世界で一番若くして自分の力で億万長者になったと認定した。

 ザッカーバーグ氏はパソコン大手のデルのように学生寮の自分の部屋で04年2月に創業した。06年にハーバードを卒業予定だったが、フェースブックが成功したのでカリフォルニア州に移って、フェースブックの事業に本格的に取り組むようになった。以後パロアルト市の中心地にオフィスを構えている。ハーバード中退といえば、なにやらビル・ゲイツ氏のようでもある。

モスコビッツ氏

 ザッカーバーグ氏とフェースブックを共同で創業したとされるのは技術担当副社長のダスティン・モスコビッツ氏とクリス・ヒューズ氏だ。モスコビッツ氏はザッカーバーグ氏は同じ年生まれの24歳で、ハーバード大のルームメイトだった。一方のヒューズ氏は83年生まれの24歳でこれまたザッカーバーグ氏とルームメイトだったことが縁だ。ただし、ヒューズ氏は現在はフェースブックにコンサルタントとして関わるものの、主にはアメリカ民主党の大統領候補であるオバマ氏のウェブサイトのコーディネーターとして活躍している。

 製品管理担当副社長のマット・コーラー氏は、マッキンゼーやソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の「リンクドイン」などでの要職を経て、フェースブックに参加した。(ちなみに、CTOを務めるアダム・ダンジェロ氏がこのほどフェースブックを退社したと報じられている。ダンジェロ氏はザッカーバーグ氏と高校時代からの旧知の仲であるという)

■グーグルから次々と移籍

 何十年も前、筆者がヒューレット・パッカード(HP)に勤めていたころは、HPを辞めて道路を挟んだ反対側にあったタンデムに移籍するのが流行だった。そして、その後はサン・マイクロシステムズに移籍するのが流行った。

 時は流れ、ここしばらくはグーグルに参加したがる人が多かった。ところが、ここに来てあろうことか、グーグルを辞めてフェースブックに行くことが流行になっているようだ。

 この傾向は経営陣から現場まであらゆるレベルで起こっているが、有名なところでは、この3月にCOOに就任したシェリル・サンドバーグ氏だろう。彼女はグーグルで副社長を務めていたが、フェースブックの前COOであったオーウェン・バン・ナッタ氏が07年8月に降格となり、そして今年2月に退社した後を受けてフェースブックに移った。

 企業におけるCOOの位置付けは色々な場合が想定されるが、CEOが全般の戦略に専念して日々の細かい経営に携わるのを嫌い他の人にそれを任せる場合、またはフェースブックのようにCEOがまだ若くて経営の経験が浅い場合、ベテランのCOOを任命することがある。ただし、権限から言うとCEOがCOOを指揮することになっているので、十数歳も年上のナッタ氏としてはやりにくいところもあったであろう。ナッタ氏はフェースブックに来る前は米アマゾンで副社長を務めており、アマゾンを辞める際はCEOの仕事を探していたと伝えられているので、COOからの降格は耐え難いものであったろう。

ユー氏

 CFOのギデオン・ユー氏はヤフー、ユーチューブと渡り歩き、ユーチューブがグーグルに買収された後、07年7月にフェースブックへ移籍した。ユー氏はベンチャーキャピタルのセコイアキャピタルからオファーを受けていたが、その話を見送っての行動だった。

 ユー氏はユーチューブをグーグルに売却する際に中心的な働きをしたことで知られる。ユー氏の場合もグーグルから重要な幹部がフェースブックに流出したと報じられたが、サンドバーグ氏の場合とは少し事情が異なる。グーグルへの参加は属していたユーチューブの売却によるもので、売却後はグーグルに長く留まるつもりはなかったようである。

 一般的にこのような大掛かりな売却を担当した人が、売却された先に長く留まることはまれである。売却によってまとまった収入が入ること、事業が新たな持ち主に移って経営の仕方が大幅に変わること、自分の権限が縮小することなどで、次への展開を考えるものだからだ。

 その他の、幹部とは呼べないまでもグーグルから来た重要な人材としては技術者のベンジャミン・リン氏や製品管理担当のジャスティン・ローゼンスタイン氏が挙げられる。少し毛色の変わったところでは、チーフ・シェフのジョセフ・デシモヌ氏がフェースブックに移籍した。これは、サンドバーグ氏の引き抜きによるものだ。

 その他にも月平均で2、3人がグーグルからフェースブックに流れているようだ。フェースブックの魅力はなんだろう。当然株式上場前ということもあり、フェースブックの株式のオプションを与えられれば上場後に大きな収入になることは間違いない。

 しかし、シリコンバレーに集まる人々は常にクールでセクシーな会社を求めている。つまり、何年も前のマイクロソフトでありほんの数年前のグーグルだ。どちらの会社も安定してしまった。こういう人々はそれになじまない。常に急上昇を求めている。もちろんグーグルも昇進やボーナスなどで引きとめを図っているが必ずしも機能しているとは言えないようだ。

[2008年5月15日]

-筆者紹介-

岸本 善一(きしもと ぜんいち)

IP Devices代表

略歴

 1975年京大電気工学科を卒業、米国のNorthwestern大学でコンピューター・サイエンスの博士号を取得。その後、GTE研究所およびヒューレット・パッカードでソフトウエア開発手法の研究と実践、北米NECでインターネット事業部を立ち上げなどを手がけた。98年にIP Devicesを設立。先端技術をビジネス展開に結びつけるコンサルティング業務を提供する一方、NASAの技術を商品化するIntellimotion Systems社のCOO/CTO、オープンソースの負荷分散・ハイアベイラビリティーに重点を置いたInternet Appliance社のCTO、小型モバイル組込みシステムのセキュリティーを提供するCardSoft社のVP Strategic Alliancesなど、ベンチャー企業での技術とビジネスの融合にも力を注いでいる。米国のオープンソース企業、MySQLやJBossの日本市場参入も手がけ、最近のコンサルティングのクライアントにはXerox Parcを含む。
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