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更新:3月31日 11:06インターネット:最新ニュース

クリエーターや著作権者を犠牲にする「ネット法」への異論

 3月17日、民間研究団体のデジタル・コンテンツ法有識者フォーラム(代表=八田達夫・政策研究大学院大学学長)が、インターネット上のコンテンツの流通を促すため、特別立法である「ネット法(仮称)」の骨子を公表した。内容を見ると、日本でのコンテンツ振興を巡る議論が、政府のみならず民間レベルでもいかに偏ってしまっているかがよく分かる。

既に様々な場でこの提案の問題点が議論されているが、ここではマクロの観点と政策的な観点から評価してみたい。

■本当のネックは権利処理コストではない

 最初に指摘すべきこととして、提案内容の前提が誤っているのではないだろうか。提案では、コンテンツのネット流通が普及しない原因として「権利処理作業の負担」と「違法コピー等不正使用行為への対策が不十分であること」を挙げているが、これは本当だろうか。

 権利処理の負担については、多くの関係者がこれを理由に挙げるが、本当にそれがネックになっているというデータは何も存在しない。違法コピーも重要な問題だが、それが日本以上に深刻な米国(例えば、ネット上を流通する音楽のなかで正規の流通は40曲に1曲しかない)でも、正規コンテンツのネット流通は日本以上に進んでいる。

 むしろ「コンテンツのネット流通は儲からない」という関係者の認識が、普及を妨げている最大の原因だと思われる。権利処理にかかる手間やコストとネット流通から得られる収益を比較すると割に合わない、ということで関係者(マスメディアのみならずベンチャーや投資家も含む)が動かないというのが実態だろう。

■ネット配信の試みはR&D

 ただ、ここで問題とすべきは「儲からない」の定義である。確かに現時点では儲からないのは事実であるが、将来の期待収益という観点から考えてもそう決めつけるのが正しいであろうか。

 ネット配信先進国の米国でも、ネット配信で大きな収益を上げているところはそう多くない。むしろ赤字の事業の方が多いはずである。ネット配信ビジネスにおいて広告モデルが主流になりつつあるなか、マスメディアと比べて広告料のケタが違うのだからやむを得ない。それでもネット配信が進んでいるのは、将来的には重要な流通経路になるであろうという期待のもと、関係者が積極的に先行投資を行い、ビジネスモデルの確立に向けて試行錯誤しているからである。メディア(マスメディアとネット)というサービス産業が、製造業における研究開発(R&D)投資に相当する投資を行っている、と言ってもよいだろう。

 そう考えると、著作権制度や違法コピーを悪者にして関係者の怠慢やリスクを取りたがらない態度を見えなくするような提案は、かえってネットというメディアの将来を危うくする。ネット配信の将来の期待収益に対する関係者と社会の認識が異なるのだから、まずその差を埋める方策を考えるべきである。

次ページ:■ネット法の本質は制作者の権利制限

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