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更新:3月21日 11:31インターネット:最新ニュース

民主党法案の「有害コンテンツ」基準とは・民主党高井美穂議員に聞く

 子供たちが安全にインターネット・携帯サイトを利用できるようにと、有害情報の規制に議員立法で取り組む動きがある。民主党は、国会への提出を目指し「違法・有害サイト対策プロジェクトチーム(PT、座長・松本剛明衆議院議員)」を作り議論を進めている。有害情報の定義、フィルタリングの義務、サイト開設のセルフラベリングの実施、保護者の責務などを盛り込んだたたき台をまとめたPT事務局長の高井美穂衆議院議員に話を聞いた。(ガ島流ネット社会学)

■高井私案の「有害情報」の定義

 「まず前提として、インターネットの有益性を認めているということです。地元徳島でもネットで障害者が仕事を得たり、やりがいを感じたりしている事例があります。ネットの発展、表現の自由とバランスを取ったうえで、悪意のあるサイト、児童を誘引してお金を儲けようという人たちを抑制するためにどうすればよいか検討しました」

 たたき台(高井私案)は、まず有害情報の定義について、(1)児童(18歳未満)に対し、著しく性的感情を刺激する情報、(2)児童に対し、著しく残虐性を助長する情報、(3)児童に対し、著しく自殺又は犯罪を誘発する情報、(4)特定の児童に対するいじめに当たる情報であって当該児童に著しい心理的外傷を与えるおそれがあるもの、と定め、児童が安心してインターネットを利用できるよう、サイト開設者、プロバイダー、国および地方公共団体がそれぞれ努力するよう求めている。保護者の責任が明確化されているのも特徴と言える。

 「有害」の定義は難しい。そこで、私案では対象を児童と区切り「著しく」という言葉を入れることにした。「意見を聞いて5対5に分かれるところはフィルタリングをかけるべきではないと思う」

■フィルタリングの設定は柔軟に

高井美穂衆議院議員

 サイト開設者、プロバイダーには違法情報の「閲覧防止措置」、サイト開設者には有害情報が掲示されていることを知らせるセルフラベリングの実施も求めている。携帯電話会社にはフィルタリングソフトの稼動義務を課すものの、児童と保護者がフィルタリングを断れば除外も可能だ。

 「法律を作るときに重要になってくるのは、何を規制し、何を自由化するのかということ。フィルタリングは国が決めるものではなく、ユーザー自身が決めるもの。未成年の場合は親と本人の許可があればフィルタリングを外してもかまわないことにしている。結局、子供の問題は親の問題ですから」

 現状の携帯フィルタリングにはブラックリストとホワイトリストの二方式しかなく問題が多い。高井さんも、現状のフィルタリングの問題を理解している。フィルタリング会社のカテゴリーをキャリアが一律に適用しているため、性同一性障害のサイトがフィルタリングされ「マイノリティーの排除につながる」という陳情も受けたという。

 「セルフラベリングは、図書や映画のアダルト指定のようなものです。また、小学生など未熟な子供に対しては強いフィルタリングを行い、高校生にはもう少し緩くするなど発達段階に応じた対応も重要になります」と説く。

■ネット事業者は社会的役割の再認識を

 民主党PTでは、1月から10回集中的に会合を重ね、警察庁、総務省、フィルタリング会社、携帯キャリア、インターネット接続事業者(ISP)から話を聞いたほか、海外事例を検討し、さらには「表現の自由」「検閲の禁止」という観点から憲法学者にもヒアリングを行っている。

 「ネット事業者も自助努力をしている。ただもう少し社会的な役割を認識してほしい。社会の中で企業があるという意識を持って、業界の健全な発展のために貢献してほしい。表現の自由をたてにとって何をしてもいいというわけではない」

 高井さんのネットへの問題意識は、2人の子供(5歳と2歳)を育てながら議員活動を行っていることから生まれている(国会議員として初めて産休を取ったことでも知られる)。2年前には、携帯事業者がフィルタリングの可否について保護者と未成年に意思確認をすることを義務付ける「電気通信事業法の一部を改正する法律案」を議員立法で提出している(現在継続審議中)。

 「ネット上の情報はすべての人に開かれているので、東京でも徳島でも同じ情報が得られるという利点は大きい。すばらしいことだけれど、3歳でも60歳でも同じようにアクセスできてしまう。このメリットが最大のデメリットになっている。子供のほうがよほど携帯やPCを使いこなしている。ほかの分野で親よりも子供が進んでいるものというのはあまりない。それを考えれば何らかの歯止めが必要な状況になっていると感じます」

 議員立法に取り組む高井さんだが、法制度以上に重要なことはメディアリテラシーだと言う。「フィルタリングで遮断したからよい、というのではない。学校も家庭も、子供たちの活動にもっと目を向けて、新しいメディアの扱い方を学んでいく必要があると思います」。

 フィルタリングについては自民党も関連の法案を検討中。コンテンツ業界が民間主導で設立準備を進める第三者機関による基準作りも進んでおり、今後さらに議論が活発化しそうだ。

[2008年3月21日]

-筆者紹介-

藤代 裕之(ふじしろ ひろゆき)

ブロガー@ガ島通信

略歴

 1973年徳島県生まれ。立教大学21世紀社会デザイン研究科修了。広島大学文学部哲学科卒業後、徳島新聞社に入社。社会部で司法・警察、地方部で地方自治などを取材。文化部では、中高生向け紙面のリニューアルを担当し「若者の新聞離れ」対策に取り組む。徳島大学付属病院医療情報部助手を経て、マイネット・ジャパンアドバイザーなど。
2004年9月にブログ「ガ島通信」をスタート。メディアやジャーナリズムに関する議論から身辺雑記まで、幅広い内容を発信中。「ブログ・ジャーナリズム」(野良舎)、「メディア・イノベーションの衝撃」(日本評論社)。北海道大学科学技術コミュニケーター養成ユニット(CoSTEP)サイエンスライティング担当。

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