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更新:4月28日 09:50デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

久多良木氏が描く「ネットテレビ」と東芝のものづくり 麻倉式テレビ最新事情(下)

 テレビメーカーの業界動向を踏まえつつ、この春の新製品として店頭に並ぶ最新モデルについて、現時点での私の見方をまとめていこう。液晶の表面処理の新たなトレンド、超解像技術、ネットワーク対応など、語るべきポイントは数多い。(麻倉怜士のニュースEYE)

 上編の「液晶の『3悪』はどこまで克服されたか」では、液晶ディスプレーの3つの問題点である残像、視野角、コントラストがどこまで改善したかを述べた。しかし、液晶の話題はこれだけではなく、パネルの表面処理でもここにきて大きな動きがあった。東芝が全面光沢にいよいよ大転換したのだ。

■液晶だけが非光沢だった

 振り返ってみると、テレビの表面が光っているのは当たり前だった。ブラウン管テレビは基本的に光沢テレビだった。実は、ブラウン管時代も表面反射の問題は何度か問われており、非光沢(ノングレア)加工をして表面を荒らし、乱反射させることで映り込みを防ぐこともあった。パソコン用のブラウン管ディスプレーがそうだ。しかし、質感が劣り、乾いた感じになることが指摘され、テレビはいつも光沢に戻っていた。

 リアプロジェクションテレビも最初はノングレア加工だったが、最後はどのメーカーも光沢を採用した。一方、業務用の液晶パソコンは今もノングレアが普通で、それは仕事で使うときは反射が邪魔だからだ。しかし家庭用のAVパソコンになると、ブラウン管テレビのような反射感、ピカピカ感がほしいということになる。

 プラズマも反射型であることを考えると、ノングレアにこだわっているのは液晶テレビぐらいだ。シャープが従来のブラウン管テレビと違う存在感を示すために、最初からノングレアで突っ走って大型化した。それを各社がフォローしてきたのである。

 しかし、なぜ液晶テレビだけがノングレアのままなのかと考えるメーカーも出てきた。ノングレアには、乱反射によって全体的にぼぉっとした輝きが残ってしまう問題がある。黒が浮いた感じになり、コントラストも低下する。さらに、内部から届く光が表面のざらざら処理に妨げられて拡散してしまうため、フォーカスにも不利な状況だ。

 ただし、映り込みがないというのは非常に大きい利点だ。特に店頭ではプラズマが映り込むのに対し、液晶は映り込みがないことを大きなセールスポイントにしてきた。店頭では、映像そのもののダイナミックモードを強めているため、少々表面で乱反射してフォーカスが劣ろうが、あまり分からない。

■コントラストやフォーカスに優れた光沢パネル

 日本では三菱電機、米国では韓国サムスン電子がまず全面的に表面処理を光沢化した。そこで、他のメーカーも態度決定を迫られることになった。絵のよさを訴えようとすると光沢がよいが、やはり見ている人が映り込んでしまうことに対する心配がある。

 三菱電機も光沢化に踏み切る前は非常に悩んだという。結局は光沢化を決断したが、これは三菱電機が先発各社のように生産規模が大きいメーカーではないからできた側面がある。ここにきて東芝が全面的に光沢を採用したことで、他のメーカーが追随する可能性も高まったのではないか。

 プラズマは最初から光沢である。プラズマのよさは、コントラストがもともと高いことにあるが、光沢パネルの艶っぽさにも非常に助けられている。一時、パナソニックが旧松下電器産業時代にノングレアを採用し、見事、大失敗した例もある。液晶はLEDバックライトでコントラストを改善したが、ノングレアのままだとフォーカスの問題が依然残る。そこで、東芝はLEDバックライトと光沢パネルという組み合わせに出た。

 私自身としても、液晶は常識的に反射しないほうがよいと思っていたが、横並びで見てみると、光沢パネルの方がやはり基本的にコントラストやフォーカスがよい。家庭の環境でも、光沢でないことが逆に気になってしまうようになった。

■フルHDの映像をさらに高画質化

 次は超解像だ。いまは東芝の独壇場で、春モデルでは去年の超解像モデルを改良し、入力信号をフルHDに拡大した。従来はフルHDに満たない地デジの映像信号をフルHDに変換する時に使用していたが、フルHDの映像もさらに高画質処理をして見られるようになった。

 超解像は東芝のみが搭載しているが、これからに期待していい技術である。例えば「4K2K」の超高精細テレビがこれから出てきても、現行のフルHDの信号を元に4K2Kに変換する。「YouTube(ユーチューブ)」のようなクオリティーの低い動画も、それなりに画質を高めてフルHDで見られるようになる。

 フルHDを中点にして、それに満たない信号をフルHDに上げる。上げた時にきれいに見せる。フルHDの信号を8K4K、4K2Kに上げていく――。こうしたダイナミックなスケーリングのなかで、画像の劣化を最小限に防ぎ、さらに解像感を高めることが超解像の狙いであり、今後、絶対に必要な技術だ。

■超解像のさらなる可能性

 最近、この超解像に関係する面白いテクノロジーに出会った。ライトロンの江口満男社長が開発した技術だ。彼は光学系の専門家で、デジタルカメラで撮影した映像に対してそのカメラの映像だけを元に1フレームのなかで超解像を施す。例えて言うと、コンパクトカメラで撮った写真を、高性能レンズをつけた一眼レフカメラで撮った画像に変える。

ライトロンの超解像技術

 さらにいえば、ピントがぼけた部分の映像を超解像処理を何度も回すことでクッキリさせるとか、ブレが発生しているものに対してブレを検知して正していくといった、従来の超解像よりさらに先進的なテクノロジーだった。フルHDの動画に超解像処理をかけるデモを見せてくれたのだが、残像感というレベルだけでなく、解像力、解像度というところまで画質が上がっていたのはとても印象深かった。

 超解像の世界はまだ始まったばかりで、これからのアルゴリズム開発によって新しい展望が開けるだろうことを、この先進的な開発によって垣間見たのである。

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