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更新:6月27日 10:45デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

東芝HD・DVDレコーダー「価格・性能に見合う志はあるか」【麻倉怜士のニュースEYE】

 東芝が6月22日に発表した初のHD・DVDレコーダー「RD-A1」は、3つの点で私の興味をかき立てた。そのうち、2つの点は高く評価している。だが、3つめの点が大いに問題である。

■「39万8000円」という値段に隠された意図

 「RD-A1」に注目した第1のトピックは、39万8000円という価格設定だ。

 「RD-A1」が発表される前日、松下電器産業がデジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」のリリースを発表したが、その価格設定は店頭実勢で25万円前後。ソニー初のデジタル一眼レフ「α100」の12万円前後(焦点距離18―70ミリレンズとのセット価格)と比べると、松下電器が中級者向け、ソニーが初級者向けという違いがあり単純比較はできないとはいえ、2倍以上の価格差がある。

 松下電器の担当者は、レンズにこだわり、機能にこだわり、そしてデザインにこだわった結果、この価格になったと強調しているが、私はこれは明らかにトップダウン戦略であると見た。つまりあらゆる技術を投入しハイエンド分野の戦略機を作ることで、ブランドイメージを確立し技術を揺籃(ようらん)し、今後の展開に備える……。まさに「シャワー効果」を絵に描いたような戦略だ。

 価格戦略には2つのオプションがある。一つは「噴水効果」を狙う方法。低価格品から作り始め、徐々に高級品に展開していく。そして、もう一つが「シャワー効果」だ。高級品から普及品へ降ろしていく。特に趣味製品の分野でシャワー効果が正しい戦略であると、ここに来て認識されるようになったことに私は非常に注目している。

 これまでのデフレ時代は低価格を追求し、一定の性能であれば価格が低ければ低いほど善とされたが、これからの時代はよいものにきちんとした対価を払うハイクラスなユーザーに向けたシャワー効果戦略が極めて有効なのである。もちろん、これは新規の趣味製品だから効果があることで、生活必需品の場合にはボトムアップ戦略のほうが効く。持つこと、使うことに誇りを持てる製品こそが趣味製品の王道である。

松下電器産業のデジタル一眼レフカメラ「LUMIX DMC-L1」

 ということで松下電器の「L1」にみられるトップダウン戦略に注目していた翌日、東芝が初のHD・DVDレコーダーに39万8000円という一般常識からすると目をむくような価格を付けた。これまで東芝はまったく反対の価格戦略を採用していたから特に興味を引くのである。

 

 4月にアメリカで発売した初のHD・DVDプレーヤーでは、499ドルという赤字必至の超低価格を打ち出した。あえて赤字をものともせず極端な低価格で普及させようという強い意志を示したわけだが、今回はそれとまったく逆の、趣味製品ならではの王道の価格設定である。それは松下電器が一眼レフでとった戦略とまったく同一のやり方であった。

 まずハイエンド製品から出す。最高の技術を投入し、圧倒的な性能を仕込み、デザインも価格に見合うよう非常に重厚にする。この製品の力により新しいフォーマットのイメージを迅速に高め、注目を集め、実際にマニア層に使ってもらいマニア層からのクチコミ効果も期待し……という目論見が39万8000円という価格設定を生んだのだ。

 これで思いだすのはソニーの黄金期における戦略である。たとえば1983年に出したベータハイファイの初代機「SL-HF77」は29万8000円と、今で言えば40万円前後の価格設定だった。次に「HF66」「HF55」と価格を下げて普及戦略をとるのだが、最初に「HF77」で高級イメージを獲得し、ソニーの作るものはいつもいいのだというイメージを浸透させるのに成功した。もう一つソニーの例でいくと、87年3月に発表した「EDV-9000」というEDベータフォーマットのビデオデッキもハイエンドから入った。しかし、残念なことにベータ自身がなくなってしまったが。

 「RD-A1」に話を戻すと、実はレコーダーの価格設定として今回の39万8000円は、決して高過ぎではなく理論どおりという言い方もできる。記録ディスクとレコーダーの間には「100倍」の関係があるというのが、業界の定説だ。例えばDVD−Rは東京・秋葉原の路地ではいまや1枚数十円だが、おおむねディスク価格を100倍すると、現在のDVDレコーダーの価格になる。三菱化学メディアと日立マクセルが業界初のHD・DVD−R片面2層ディスクを発売するが、その想定価格は1枚4500円前後。だから、HD・DVDレコーダーはその100倍の「45万円」という計算も成り立つのである。

■マニア層に支持される画質・音質

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