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更新:12月18日 11:00デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

「3D新時代」が到来 ハリウッド映画の完成度と2つの映像技術

 先日、3D映画「センター・オブ・ジ・アース」をはしごした。まず午前10時から地元の新百合ヶ丘にある「ワーナー・マイカル・シネマズ」で観賞し、その日の夜に「新宿バルト9」で同じ映画を見た。なぜ同じ作品を2カ所で見たかというと、違う3D方式だからだ。ワーナーは「REAL D(リアル・ディー)」、バルト9は「Dolby(ドルビー)3Dシネマシステム」という互換性のない方式をそれぞれ採用している。(麻倉怜士のニュースEYE)

 2つの方式を見比べたが、基本的に3D効果に関して大きな違いはなかった。それより驚いたのが、3Dのクオリティーだ。これまでの3Dは、見た後にかなりの疲労が脳内に蓄積するものだったが、実写作品の「センター・オブ・ジ・アース」は完成度が高く、一部に違和感はあったものの(後述する)、これまでと比較して人間の視覚とのマッチングもよかった。

 私をしてはしごさせるくらい、最新の3D映画は強力な魅力を持っている。今回は、まずハリウッドで大ヒットし始め、やがて家庭に入ってくる方向が見えてきた3D映画の最新動向を報告しよう。

米ドリームワークス・アニメーションSKGのジェフリー・カッツェンバーグCEO〔AP Photo〕

■「今後、制作する映画はすべて3D」

 ハリウッドはいま、全社を挙げて3D制作に突入している。米ドリームワークス・アニメーションSKGのジェフリー・カッツェンバーグCEOは「今後、制作する映画はすべて3Dにする」と2Dは作らない意向を高らかに表明している。

 米ディズニーは今、約20作品を作っているが、そのうちの半分が3Dという。米ワーナー・ブラザーズは「ハリー・ポッター」シリーズの次回作を3Dとして制作している。

 業界筋によると、2009年には13作が公開予定で、制作中の作品を含めると、約40タイトルにも及ぶという。

 具体的には、来年はドリームワークスの「MONSTERS VS ALIENS(モンスターズVSエイリアンズ)」、米二十世紀フォックスによるジェームズ・キャメロン監督の「Avatar(アバター)」、同じくアニメ大作「アイスエイジ3」などの3D大作が控えている。

 ジョージ・ルーカス監督は新しい技術に対して鋭敏に反応する人で、「スター・ウォーズ」の過去の作品を3Dに変換しているところだ。近い将来、劇場で上映する計画を立てている。現在のところ全世界でも1900スクリーン程度しか3Dに対応する映画館がないので、これがもっと増えた時にリリースする計画と言われている。

 ちなみにデジタルシネマは全世界で約6300スクリーンある。裏返せば、その約3割がすでに3D対応しているともいえる。もう3Dでないと映画が始まらないという流れにきているのだ。

■エンターテインメントの主役の座を競う映画とテレビ

 面白いのは、映画とテレビの関係だ。テレビ文化が盛んになると、映画は必ず何か新しい仕掛けを打ち出してくる。

 1950年代にアメリカでテレビが出現し、瞬く間に流行った時は、テレビにはない大画面の迫力を映画館で味わってもらおうと、「シネラマ」という超ワイドスクリーン方式が開発された。それが後に横長のデファクト・スタンダード「シネスコ・サイズ」に継承された。

 テレビが横長をフォローする形で、まずはSDのワイドテレビ、そして次にハイビジョン放送を16:9の横長で家庭に提供するようになると、映画は立体音響というサラウンドシステムを取り入れ、テレビの音と差別化を図った。

 家庭がホームシアターという形で立体音響を使ったシアター文化を構築しようというトレンドなって、映画はいよいよ立体映像を打ち出したというわけだ。歴史的に考えてみると、テレビと映画がエンターテインメントの主役の座を争うという構図が見えてくる。

■スピルバーグ氏とルーカス氏の「3D宣言」

 では、なぜいまハリウッドが大挙して3Dを目指しているのだろうか。

 そのひとつのきっかけとなったのは2005年の「ショーウエスト」という展示会で、映画監督のスティーブン・スピルバーグ氏とジョージ・ルーカス氏が「3D宣言」を発したことにある。「これからの映画は3Dだ。3Dにすることで映画はさらに発展する!」と強い檄を飛ばしたことが業界に大きなインパクトを与えた。

 この2005年は、まさに今に続く3Dブームのきっかけになった年である。

 これまで3Dは何回かブームを起こしている。第1のブームは1950年代、2回目は1970年代から80年代にかけて、今回は第3回目のブームといってもよい。

 3回目のブームのきっかけとなったのが、ひとつは大物監督による3D宣言であり、同時にこの年にディズニーの3D映画「Chicken Little(チキン・リトル)」が大ヒットしたことが、業界を3Dに向かわせる大きな流れをつくった。

 チキン・リトルはREAL D方式という当時全く新しいメソッドで提供され、従来の3D映画にあった疲労感や不自然さという阻害要因が極めて少なかった。誰でも長時間楽しむことを可能にした技術がチキン・リトルを大ヒットさせたのである。

■「売り上げ3倍」の魅力

 その結果、それに続けとばかりに各社が3Dの作品をリリースしている。

 例えば、「The Nightmare Before Christmas(ナイトメアー・ビフォア・クリスマス)」は、映画監督のティム・バートン氏による2Dの作品だが、3Dに変換したところ、旧作にもかかわらず大ヒットした。2006年、2007年と2年連続でクリスマスにかけた時期にヒットしたというほどの勢いがある。

 端的にいうと、3Dが儲かるから劇場とハリウッドが目をつけている。デジタルシネマの範疇において、2Dのシアターと3Dのシアターでは売り上げが3倍も違うという。まず入場料は通常6ドルのところ、10ドルとれる。値段が高いのに多くの客が来る。儲かることなら何でもやるのがハリウッド流であり、大挙して儲けに走る構図が出てきた。

 日本の3D事情はハリウッドの後追いでしかないが、客に対するアトラクションという意味では確実に儲かる方向にきているらしい。私が夜9時の回のセンター・オブ・ジ・アースを見た新宿バルト9では、「土曜、日曜は満員でお客が並んでいる状態。料金は2000円と普段より高いが、3Dは着実にお客の足を増やしている」と従業員が言っていた。

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