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更新:11月7日 15:25デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

パナソニックの三洋買収 狙いは「家(いえ)支配戦略」・麻倉怜士

 パナソニックと三洋電機が資本・業務提携の協議を始めることで合意したことが、7日午後いよいよ正式に発表された。パナソニックによる三洋電機買収がどのような意味を持つのか、今後の両社の協議をじっくりと見極めたいところだが、それ以前の段階でも、これまでの両社の戦略を考えてみると、読めてくることが多々ある。

 パナソニックが三洋電機を買収する最大の狙いは、エネルギーテクノロジーを手に入れることだろう。パナソニックは電池の最大手であり、一次電池、二次電池について強い技術を持っているが、三洋電機も最近のヒット商品「eneloop(エネループ)」でも分かるように独自の強いエネルギー技術を持つ。特に太陽電池では世界的なプレーヤーだ。パナソニックはこれを自社のラインアップに加えることで、エネルギー事業を充実させる狙いがある。

■家の中をトータルに支配する

 いま、世界の電機メーカーの間で太陽電池に対する猛烈な投資が始まっている。環境問題を追い風にクリーンエネルギーを創出しようという流れに沿ったものだ。これは、2011年のアナログ停波によるデジタルテレビの需要予測が確実なのと同じような意味で、今後確実に需要拡大が見込まれる分野である。

パナソニックはCEATECで壁一面の大画面テレビ「ライフウォール」のデモンストレーションなどを展示した

 太陽電池については様々なアプローチがあるが、パナソニックが狙うのは住宅部材としての太陽電池だろう。今年のCEATECを見ても分かることだが、パナソニックはパナソニック電工とともに製品・サービスを統一的、有機的な展開するという姿勢を明確に見せている。

 単に白物家電やAV機器を提案するだけではない。それが家の中でどのように使われ、照明や空調などとどう連携していくかというトータルなホーム戦略を今年のCEATECでは打ち出していた。

 パナソニックが考えるのは、家の中、部屋の中において、すべてのAV機器、白物家電を支配するということだ。さらに、それらや照明、空調、住設分野の機器を密接にからませ、ネットワーク化する。エンターテインメント、安全、暮らし、文化など家と人間に関わるすべての分野をパナソニックが根こそぎ支配するという大野望を抱いている。

■欠けていた「屋根」と「外壁」

 しかし、CEATECのトータルホーム展示に欠けていたのが、住宅の外部、つまり屋根や外壁である。それらを太陽電池化するという「エネルギー住宅構想」が加われば、今のパナソニックには多大な前進になる。太陽電池のクリーンエネルギーによる電気でパナソニックのAV機器や白物家電を動かすという――しかもそれがパナホームで作られるという――家すべてをパナソニック化するトータルな展開が見込めるのである。

 そういう意味で、三洋電機の極めて効率の高い太陽電池に食指が動くというのは理にかなった話だ。もちろん、リチウム・イオン電池も三洋の強みであり、バッテリー駆動の次世代環境対応車への用意として、おいしく映る。

 しかも、パナソニックは世界的に確実に利益を稼ぎ、なおかつ手元流動資金もうなるほど持っている。この資金を使ってトータルな家(いえ)支配戦略を進める好機が来たと思った。

 三洋電機は三井住友銀行など金融3社の管理下にあり、必ずいつかはどこかに譲渡しなければならない。その相手がパナソニックだということだ。

■ものづくりの体質が似た兄弟

 もともと三洋電機とパナソニックは兄弟会社である。松下幸之助の女房役だった井植歳男が公職追放指定により松下電器を離れ、自ら創業したのが三洋電機だ。もともと非常に近しい間柄である。何しろ両社の本社は2キロほどしか離れていない。国道1号線をはさんで右側か左側かというような位置関係だ。

 ものづくりに徹底して商品を突っ込むという体質も非常に似ている。東京の電機メーカーはスマート志向で、きれいな本社を構えたがるが、大阪の電機メーカーの本社は質素なつくりで、研究所や工場の方をきちんと整備する。本社は最低限の建て方にして、大事なものづくりのところにお金をかけるという考え方がパナソニックと三洋電機に共通している。

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