更新:11月27日 15:13デジタル家電&エンタメ:最新ニュース
■新たな市場で先行するベクター mixiアプリでもう1つ目を引くのが、ターゲットを女性に絞り込んだゲームが上位にいることだ。ベクターが提供する「恋する私の王子様 for mixi」は10月28日に携帯電話向けのみでサービスを開始したが、登録者は早くも118万人。全体のランキングで7位に入っている。家庭用ゲーム機で女性専用ゲームがこれほど人気を得た例は近年なく、かなり特異な印象を受ける。 恋する私の王子様 for mixiは、ゲーム内で男性キャラクターを育てていく恋愛をテーマにしたゲームで、キャラクターに人気男性声優を起用したことがヒットの1つの要因だろう。また、mixi内の友人を勧誘してゲームに参加させると恋愛が進展するといった特典も用意しており、ユーザー登録を促す仕掛けとして効いていると思われる。 89年創業のベクターはシェアウェアなどのネット販売では老舗だが、オンラインゲームへの本格参入は06年前後と遅かった。しかし、ブラウザー上で遊べる「ブラウザーゲーム」では先発組の1社として今年本格展開を始め、早くも成果を上げている。 10月23日に発表した09年4〜9月期決算によると、これまで主力だったシェアウェア販売等の「インターネット販売事業」の売上高は前年同期比で6.5%減少して約10億8000万円だったのに対し、「オンラインゲーム事業」は倍増の6億3000万円。この結果、売上高全体に占めるオンラインゲーム事業の比率も前年同期の19.1%から33.7%に高まった。 ブラウザーゲームでは、「ドラゴンクルセイド」や「ブラウザ三国志」(開発はAQインタラクティブ)のアイテム販売が好調なようだ。恋する私の王子様 for mixiはいまのところアイテム課金を導入しておらず、どのように収益化していくかが今後のポイントとなる。 ベクターの業績推移をみると、クライアントソフトが不要で手軽に始められるこれらのゲームの勢いを感じざるを得ない。同時に、高度な3Dグラフィックスがなくてもゲームを楽しめるユーザーがそれだけ多いという現実に改めて目が向く。 ■女性ユーザーのシフトは打撃 日本のゲーム市場で女性ユーザーの影響力は侮れない。家庭用ゲーム機向けで100万本を超えるような大ヒットを記録するには、男性だけでなく女性にも買ってもらえるソフトであることが重要だ。 任天堂の岩田聡社長は4〜9月期の決算発表のなかで、「ポケットモンスターハートゴールド・ソウルシルバー」(DS)が300万本の大ヒットになった要因を前作の「ダイヤモンド・パール」より幅広い年齢層に受け入れられたためと分析している。 ユーザー属性で注目されるのは、男女比が「ダイヤモンド・パール」ではほぼ3:1なのに対し、「ゴールド・ソウルシルバー」では2:1程度となっている点だ。「トモダチコレクション」(DS)も150万本を超えて大ヒットタイトルとなりつつあるが、女性の購入者が多いと考えてよい。 「ファイナルファンタジー」や「ドラゴンクエスト」シリーズなどのRPG分野が日本で人気があるのも、男性ユーザーだけでなく女性ユーザーが購入していることに一因がある。格闘ゲームやアクションゲーム、一人称シューティングゲームなどの分野がコアなファンを集めながらも、なかなか大ヒットにつながらないのは逆の理由だ。 mixiアプリの成功で、女性を含むカジュアルユーザー層が家庭用ゲーム機市場からフリーのゲームにシフトしていけば、パッケージソフト市場の母集団はその分小さくなる。パッケージでヒットを出すのは一段と難しくなるだろう。 今のところ、ゲーム市場のこうした変化を見通せる統計データは存在せず、ユーザーの動きを正確に捉えることは難しい。しかし、変化の兆候はあちこちに出ており、日本も市場構造の激変期にあることを告げている。 [2009年11月27日] ● 関連リンク● 記事一覧
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