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更新:11月17日 11:30デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

しぼむ夢の構想・「PS3」は結局普通のゲーム機なのか【コラム】

 どうも話が奇妙だ。ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の新型ゲーム機「プレイステーション3」(PS3)のオンラインサービスについてである。結局、PS3は今までと変わらない「ゲーム機」なのか、どこまでが目指していたはずの「エンタテインメントコンピュータ」なのか?SCEからは、矛盾したメッセージが出ているように思えてならない。(新清士のゲームスクランブル)

 「プレイステーション」の生みの親でもあるSCEの久多良木健社長が抱く構想は、PS3を最終的にはオープンソースの基本ソフト「リナックス」を搭載したPCに発展させ、PCのデファクトスタンダードであるマイクロソフトのウィンドウズPCを脅かす地位にまで高めるというものである。

 これは、2002年のゲーム開発者会議(GDC)の基調講演で、当時のSCEの最高技術責任者(CTO)であった岡本伸一氏が初めてPS3の心臓部である「セル」チップの構想を明らかにしたときから首尾一貫している。

 セルを搭載したPS3が計算パワーに余裕を持つときは、ネットワークを通じて計算処理を肩代わりし、要求された計算を処理してデータを戻す。ネットワークに接続されたすべてのPS3が巨大なコンピュータ群として個々のマシンを補い合い、全体としてハイパワーPCとして機能する。それによって、一定のペースでしか性能の向上が見られないコンピュータの性能を、一気にPS2の1000倍まで引き上げるというビジョンである。

 単なる新しいゲーム機ではなく、コンピュータのイノベーションに挑むこの分散コンピューティング構想が発表されたときの衝撃は大きかった。

 ただ、肝心のセルの開発は思ったように進まなかった。この当初の構想は段々と縮小され、分散コンピューティングの概念は結局は、セルのなかにコアを8個搭載するマルチコアが並列に作業をしてスーパーコンピュータ並の性能を引き出すというコンセプトまで縮小された。当初の構想は、もう過去の一種のペーパーウエアのようなものになったと考えられていた。

東京ゲームショウで基調講演する久多良木氏=9月22日

 ところが、今年9月の「東京ゲームショウ」の基調講演で、久多良木氏はこのオリジナルの構想をまだ諦めていないことを明かにし、話はややこしくなる。その講演は、数年後にはPS3のセルの計算能力を使い、ネットワークを通じて劇的に性能を引き上げるようなアプリケーションの登場をにじませた内容だった。そのために基調講演の会場は、?マークでいっぱいの聴衆を生みだすことになった。

 久多良木氏の構想は確かに夢がある。しかし、問題はそこにたどり着くまでにどういった具体的な戦略を持っているのかということである。PS3が発売された現在でもそれが具体的に見えてこない。

 この構想の実現の鍵を握ると見られていたのが、PS3用に発売されるリナックスである。北米では11月27日にSCEとライセンス契約して技術提供を受けている米Terra Soft社が「Yellow Dog Linux v5.0」をPS3に対応させてリリースする(日本語版のリリースは、日本の代理店であるアミュレットが予定しているものの、動作検証作業の終了日程が確定できないため、発売日は現時点で未定。ただ、日本語環境での検証が終了次第、速やかにリリースされる予定)。

 PS3上でリナックスが動き、開発環境としても使え、多くのリナックスのアプリケーションを移植できたりすれば、確かにウィンドウズ系PCに対抗する一つの軸となりうる可能性がある。現在のセルが抱える開発の難しさも、PS3向けリナックスの開発者コミュニティーが成長すれば、様々なアプリケーションや解決策の提供により解消するかもしれない。そういう期待が久多良木氏の発言には見え隠れしなくもない。

リナックスが普及しすぎると崩壊する収益モデル

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