更新:2月8日 11:15デジタル家電&エンタメ:最新ニュース
有力タイトルがなぜ逃げ出したのか・PS3生き残りの課題(下)
ソニーは2007年4―12月期の業績発表で、「プレイステーション3(PS3)」の08年3月通期の販売目標を当初の1100万台から950万台に下方修正したことを明らかにした。その減少分の150万台分は、日本での伸び悩みが影響していると思う。昨年11月の値下げ以降、多少売り上げが伸びたとはいえ、07年の1年間で国内累計が167万台(エンターブレイン調べ、以下同じ)という厳しい結果だった。 ゲームソフト業界にとってこの数字が意味するのは、PS3や「Xbox360」といったグラフィックの処理性能が高い上位機向けでは、国内市場単独で利益を出すことが限りなく難しくなっているという現実だ。今後、サードパーティーの国内ソフト企業の事業戦略に大きな影響を与えると思われる。 ■携帯ゲーム機が据置型をはるかに凌駕する日本 日本のゲーム機市場はこの先何年にもわたって、欧米と比較して異質な市場になる可能性がある。大きな理由は、据置型ゲーム機よりも、「ニンテンドーDS」と「プレイステーション・ポータブル(PSP)」によって構成される携帯ゲーム機の市場の方がはるかに大きくなってしまったからだ。
国内累計でDSは2110万台、PSPは735万台となり、すでに「プレイステーション2(PS2)」の2105万台を超えている。PSPは9月の新型PSPの発売後、絶好調だ。このような傾向は、06年から顕著になり始めていたが、据置型ゲームに勢いがあった欧米市場とは対照的である。 この結果、日本で販売本数の上位にいるサードパーティー製のゲームの多くは、携帯ゲーム機に集中している。150万本を売った「モンスターハンターポータブル2nd」(PSP、カプコン)や、105万本の「ドラゴンクエストIV」(DS、スクウェア・エニックス)、「レントン教授と不思議な町」(DS、レベルファイブ)、「クライシスコア〜FFVII」(PSP、スクウェア・エニックス)といったタイトルだ。PS3、Xbox360、「Wii」という新型の据置機向けでは、上位に入るサードパーティー製タイトルはなかったといっても過言ではない。 今年1年で、仮に据置型ゲーム機が大きく販売を伸ばしたとしても、それでも携帯ゲーム機の普及台数に追いつくという状況は考えにくく、日本の市場構成は欧米とははっきりと異なる。Xbox360だけでなく、PS3も日本では苦戦しているとみるのが正しいだろう。 ■日本市場だけでは回収が難しいPS3向けタイトル この新型ゲーム機での事業展開の難しさを顕著に表しているのが「ガンダム無双」(コーエー)と思われる。PS2向けにこのタイトルを発売することを発表したのには驚いた。 07年3月に発売した「ガンダム無双」は、「ガンダム」と「無双」という最強ともいうべき人気シリーズの組み合わせで、本格的なPS3の独占タイトルでもあったからだ。実際、音声など豪華な作りがされており、フラッグシップタイトルを強く意識して開発されている。
事実、30万本を超える販売に成功し、07年11月に同じくコーエーが発売した「真・三国無双5」が33万本の販売を達成するまでは、PS3向けサードパーティー製ゲームのトップタイトルであった。しかし、07年7月には北米のゲーム展示会「E3」でXbox360版の発売をアナウンスし、07年12月には日本でも発売した。そして、この2月28日にはPS2版の発売である。 PS3向けゲームの開発費は、どんなに小さく見積もっても十数億円はかかる。30万本の販売は日本では十分なヒットといえるが、PS2向けの無双シリーズは必ず70万から100万本を売っていたタイトルである。PS2時代と比較して、開発費が増加しているのに、販売本数が半減していたのではとても割が合わない。 PS3向けタイトルは、国内での人気だけでは利益を出すことさえ厳しい。コーエーにとってさらに厳しいのは、「無双」シリーズが日本でしか通用しないブランドである点だ。コーエーは、「無双」シリーズのブランドをPS2時代に確立して大きく業績を伸ばしたが、日本国内のファンの人気のみによって支えられてきた。欧米では、三国志や日本の歴史、またガンダムといった日本で強いブランドはまったく通用しない。日本でアメリカの開拓ものやスターウォーズのゲームが売れないのと同じような理由だ。 「ガンダム無双」の海外での販売本数は明らかにされていないが、チャート上位に出たことはなく、苦戦したものと思われる。 つまり、少なくとも日本のサードパーティーがPS3とXbox360市場できちんと収益を出そうと思ったら、日本市場だけでなく欧米市場でも売れることが絶対条件化してしまったのである。日本企業にとっては、PS3で展開を続ける限りグローバル化は避けられなくなっている。 しかし、一方の競争相手である欧米企業は、そもそも規模の大きな市場にいるため展開上の優位性を確保でき、小さな市場である日本を無視できる。 >>次ページ ■日本だけで人気のあるタイトルはWiiに流れる? ● 関連リンク● 記事一覧
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