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更新:8月3日 10:40デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

ディズニーランドにはなれない「セカンドライフ」

 3次元仮想世界サービス「セカンドライフ」の成功が本当に実体のあるものかどうかという議論が、最近ひそかに交わされ始めた。単純に数字から見ると、セカンドライフは「砂上の楼閣」と言われても仕方のない側面がある。広告宣伝媒体といった視点から見るのであれば、そろそろ冷静に数字を精査してから考えてみてもいいだろう。セカンドライフは、公表されている全体の登録ユーザー数に対して、実際に活動しているアクティブなユーザーの数が驚くほど少ないのだ。(新清士のゲームスクランブル)

■二度とアクセスしないユーザーが大半

 セカンドライフは8月2日時点で853万人の住人(登録ユーザー)を抱えているが、過去60日間にアクセスした人数はそのうち168万人。単純計算では約20%となる。

 一方、公式ページで公開されているデータを見ると、5月末の段階での住人数は686万人だったので、この2カ月で新規住人が約167万人増加したことになる。新規ユーザーは最低でも必ず1回はアクセスするわけだから、ここ60日間のアクセス人数から新規住人の数を引き算をすると、1万人。つまり新規でない住人は60日間でわずか1万人しかログインしていないことになる。

 若干荒い概算とはいえ、過去60日間のアクセスユーザー数がほとんど新規ユーザーで占められているというのは、かなり異常な数値であるといわざる得ない。

 さらに気になる数字がプレミアム会員になっている住人の数だ。月額9.95ドルを支払いプレミアム会員になることで、土地を購入したり自分の作ったオブジェクトを自由に保存したりする権利を持てる。セカンドライフの魅力は自分で創造する楽しさを味わえることにあり、この権利がないと面白くない。

 ところが、このプレミアム会員のユーザー数も増えてない。同じく公式ページのデータによると6月末の段階で9万4607人で、4月末からの2カ月間で約1万1500人しか増えていない。有料で土地を手に入れる権利を持つユーザー数は住人全体の1%余りにすぎない。

■あまりに少ない同時接続者数

 また、一つのゲームにどれぐらいのユーザーが同時にアクセスしているかを示す同時接続者数も、全世界に向けてサービスを展開している割に少ない。セカンドライフを運営する米リンデンラボは公式データを公開してないが、筆者の確認した限りでは2万―4万人の間に収まっている。

 同時接続者数という指標は、現在は必ずしも万能といわれなくなったが、韓国でオンラインゲームの規模を測る際に一つの指標として使われる。大雑把に、この数の10倍のユーザーが、そのゲームに積極的に関わっているとされる。この韓国方式をあてはめると、セカンドライフの実体的なコミュニティーは、実数としては40万人規模ではないかと思われる。全世界でこれだけと考えると本当に少ない。

 セカンドライフには住人が853万人もいるはずのに、この同時接続が4万人というのは、信じられないぐらい少ない数字だ。例えば、韓国NCソフトの大規模オンラインRPG「リネージュ」なら、2002年3月の段階で韓国国内だけで35万人の同時接続者数を記録している。

 国別にサービスを展開しており、台湾でも14万人、日本でも01年末段階で1万人を記録しているので、合計すると50万人に達することになる。韓国国内だけで当時、登録ユーザー数は2300万人で、アクティブなユーザー数は900万人といわれていた。現在でもビジネスモデルは変わっていないが、有料のネットカフェからアクセスするか、家庭でプレーする場合は月額の有料課金制度を使ってアカウントを作成しなければならないにもかかわらずである。

 同時接続者数は、大規模オンラインRPGの元祖「ウルティマオンライン」でも4万5000人、「エバークエスト」で10万人を記録している。どれも月額課金が基本であり、無料のアカウントは取得できない。

 セカンドライフに行ったことのある人はわかるだろうが、他のユーザーとほとんど出会わないことが多いし、店舗などを訪ねてもいつも閑散としている。だが、人がいないのは当たり前なのである。なぜなら話題性から参加する新規ユーザーがどんどん増えているだけで、料金を支払う必要のないユーザーは結局すぐにアクセスしなくなり、定着もしない。そのため、継続的な経済効果についてはかなり怪しいと考えざる得ない部分がある。

■セカンドライフ自体の魅力でなく話題によって支えられる広告効果

中古書店ブックオフのセカンドライフ内店舗

 セカンドライフへの企業の出店に伴う広告宣伝効果は、セカンドライフ内だけで生みだされるわけではない。出店コストは、一つの島の初期投資が1675ドルで、維持費が月299ドル。3次元コンテンツの製作コストは別途かかるだろうが、通常のマス広告の出稿料金に比べると安価ではある。企業はテレビや新聞などの媒体に広告を直接出すことなく、「○○社がセカンドライフに出店」とメディアに報じてもらうことで、広告に近しい効果を出せることになるのだ。

 セカンドライフ内で大きなイベントを開催するにしても、1つのエリアには50人程度しか集まれないという技術面で絶望的な制約条件を抱えている。例えばコンサートを開いても、実際のライブのように何千何万ものユーザーが集まって楽しむことはできない。ロックバンドのU2がセカンドライフの中でアバターとしてコンサートを行ったのがかつて話題になったが、セカンドライフ内で実際にライブを見た人よりも、その録画が動画サイトの「YouTube」にアップされそこで視聴した数の方が圧倒的に多い。

 そのため、マスコミがセカンドライフに飽きてセンセーショナルに扱わなくなれば、この構造は当然成り立たなくなる。少なくともこの方法による広告価値は早晩崩れてしまうだろう。

 インタラクティブ性を持ったオンラインのサービスは、よくテーマパークに例えられることが多いが、悪い言い方をすると今のセカンドライフは、地方のテーマパーク的な存在であるといってもいいかもしれない。

 日本のテーマパーク市場は全体で約6000億円、うち東京ディズニーリゾートだけで2800億円で、5割近い数字を占めている。残りを他のすべてのテーマパークが競って争っているという状態だ。TDLが強い理由はいうまでもない。圧倒的なリピーター数の存在である。

 テーマパークといったものは開業の最初の年は話題になるが、だんだんと人数は減少するのが一般的だ。多くのテーマパークにはリピートする理由がない。そのため、常に新規ユーザーを取り込まなければならないという運営上の厳しい課題を抱える。

 今のセカンドライフはそれに似た感じがする。マスコミでは大きく話題として取り上げられるため、1度はアクセスしてみる。しかし、無料ユーザーにできることは基本的に大したことがない。一通り空間のなかを観光してみると満足してしまい、コミュニティーに参加したり、自分でオブジェクトを作成したりというところまでたどり着かず、大半のユーザーは二度とアクセスしない。約100万人の新しいユーザーが毎月訪れ、約100万人のユーザーが二度と来なくなる。それを繰り返しているというのが実体ではないだろうか。

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