更新:12月16日 13:40デジタル家電&エンタメ:最新ニュース
マイクロSDがコンテンツ流通の台風の目に
携帯電話の外部メモリーとして使われることが多いマイクロSDカード。最近、これにコンテンツを記録してパッケージソフトとして販売する例が目立ち始めた。(江口靖二) ■ディズニーもマイクロSDビデオを発売 フラッシュメモリーにデータを記録するメモリーカードのなかで最も小さいマイクロSDカードは、いまではたいていの携帯電話が当然のように対応している。元々はアドレス帳を本体のメモリー以外に記録することで機種変更を簡単にしたり、携帯電話で撮影した写真を持ち出したりするのに使われていた。 ところがメモリーの大容量化とともに、このマイクロSDをコンテンツ流通に利用するケースが増え始めた。どこが最初に始めたのかは定かでないが、電子翻訳機の辞書やDVDビデオの付録、音楽ビデオのパッケージなどに使われている。エイベックスが楽曲や音楽ビデオを販売したほか、ギガメディアは昨年12月からコンテンツ入りマイクロSDとしてゲームや動画コンテンツなどを販売している。 ウォルト・ディズニー・ジャパンも12月16日発売の新作「ボルト」から、ついにマイクロSD単独パッケージの販売を始めた。ボルトの価格は2940円。ブルーレイ・ディスク(BD)版が4935円、DVD+マイクロSDが4935円、DVDが3360円だから、この価格設定は絶妙である。 ■低価格化が追い風 ハードの普及も十二分 パッケージとしてのマイクロSDの利用が増えている背景には、まずマイクロSD自体の価格低下がある。価格サイトなどで調べると、2GBで399円といったものまである。大量に調達すればさらに安くなるだろう。マイクロSDのコンテンツは携帯電話で利用・視聴されることがほとんど。国内の1億台がすべて対応しているわけではないが、ハードウエアはすでに十分すぎるほど浸透している。 もちろん携帯電話はそれ自体が通信機能を持っている。IT的発想からするともうネットワーク配信の時代であり、「いまさらパッケージなんて」と考えがちだが、そう簡単でもない。仮に2GBのコンテンツをダウンロードしようとすると、現在の3Gネットワークでは軽く10時間以上かかってしまう。パケット定額制を利用したとしてもまったくもって現実的ではない。 ダウンロード方式はコンテンツ販売側にとって、課金や認証といった部分もネックになりやすい。その点、リアルなパッケージ販売であれば販路の確保さえできればよい。違法コピーなどに対する著作権管理も比較的容易でいくつかの技術が存在している。 ■テレビ局や携帯キャリアには利点なし では、パッケージとしてのマイクロSDは今後どの程度広がりをみせるだろうか。常識的に考えると、携帯電話の小さな画面で映画を1本見るのはかなりしんどいはずだが、携帯電話ですべてをこなし、お風呂でワンセグやケータイコミックを読むような世代にとってはさほど違和感がないに違いない。いつでもどこでも見られるという利便性は何にも優る。マイクロSDがコンテンツ流通の台風の目になる可能性は十分にあるだろう。 これはテレビ局や携帯キャリアにとっては困った事態である。マイクロSDの動画コンテンツは、ビューワーとして携帯電話のワンセグ機能を利用している。携帯電話はキャリアや機種ごとに仕様が異なるうえ、動画ファイルも様々な形式がある。しかし、うまい具合にワンセグという共通基盤があるため、多くのワンセグケータイでマイクロSDの動画コンテンツを見ることができるのだ。 ワンセグケータイでコンテンツがどれだけ見られても、コンテンツがどれだけ売れても、テレビ局や携帯キャリアには1円の収益ももたらさない。いったいどこに誤算があったのか。ひょっとするとマイクロSDカードの着脱のしやすさが、これからの携帯電話端末選びの一番のポイントになるかもしれない。 ※このコラムへの読者の皆様のご意見を募集してます。こちらをクリックすると、今回のコラムに関するコメントを受け取るための専用ページが開きます。(NIKKEI NET外部にある江口氏個人のブログサイトにリンクしています) [2009年12月16日] ● 関連記事● 関連リンク● 記事一覧
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