ITプラス ビジネスを制する人のIT総合ニュースサイト

音声ブラウザ専用。こちらよりメインメニューへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより記事見出しへ移動可能です。クリック。

音声ブラウザ専用。こちらより見出し一覧へ移動可能です。クリック。

NIKKEI NET

ニュース マネー:株や為替、預貯金、投信の最新情報。持ち株チェックも IR:上場企業の投資家向け情報を即時提供 経営:実務に役立つニュース&連載企画。外注先検索も 住宅:新築・賃貸からリゾートまで住宅情報満載、資料請求可能 生活・グルメ:グルメ情報や、健康ニュースなど生活にかかせない情報満載 教育:学びからキャリアアップまで 就職:学生の就職活動を完全サポート、マイページ利用も可能 求人:日経の転職サイトとWeb上の企業ページから自動的に収集した求人情報を掲載 クルマ:クルマ好き応援サイト C-style:ライフスタイルにこだわりを持つ30代男性向けウェブマガジン 日経WOMAN:働く女性のキャリアとライフスタイルをサポートするコンテンツ満載 日経ワガマガ:アタマとカラダを刺激する、大人のためのコミュニティー

更新:11月4日 13:51デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

U2のギネス級ライブ配信でまた崩れるテレビの優位

 インターネットを通じて1000万ストリーミングというギネスブック級のライブ配信が10月に行われた。一斉同報性がウリの放送の優位性がまた1つ失われたことになる。(江口靖二)

 日本時間の10月26日12時30分から、U2の「U2 360° Tour」ザ・ローズ・ボウルスタジアム(ロサンゼルス)公演が動画サイト「YouTube」のU2オフィシャルチャンネルで生中継された。読者の中にはU2をご存じない方もおられるかもしれないが、世界的にメジャーなロックバンドといっておこう。

■188カ国で1000万ストリーミング

ライブ配信の結果を伝える「U2.COM」の画面

 U2の公式サイト「U2.COM」のリリース(http://www.u2.com/news/title/ten-million-streams-188-countries)によると、ライブ会場には9万7000人が詰めかけ、YouTubeを通じたライブストリーミングは世界188カ国の1000万近いユーザーに視聴されたようだ。わたしもこれを視聴していたが、画質は十分でまったく途切れることもなくすばらしいライブを楽しませてもらった。

 1000万という数字は同時ストリーミング数なのかは明らかにされていないが、いずれにせよ膨大な配信数であることには違いない。テレビ関係者の中には、「インターネットではテレビのように同時に何百万人に映像を届けることはできない」という、自負というか拠りどころがあったのだが。それが見事に覆されてしまった瞬間である。

■テレビ中継ではできないこと

 今回の試みには、実際のライブ会場に出かけるよりも、またテレビのライブ中継よりも、画期的といえる点がいくつかある。

 まず、ライブが始まる30分前からストリーミングが開始されていた。この間にはバックステージでのメンバーの様子や、会場のファンたちの映像が配信され、カウントダウンの時間も表示した。バックステージは会場でも見られない映像だし、テレビでは本番30分前から放送を始めるのは困難だろう。

 そしていよいよライブ開始となると、公演と同時進行で世界中の人々がミニブログ「Twitter(ツイッター)」でメッセージを送り続け、それを共有することができた。なかには仕事や移動中などで映像を見られない人もたくさんいて、Twitterで流される曲目やステージの様子、感想などを通じてライブ感を味わっていたようだ。映像配信自体は米akamaiのインフラが使われたようであるが、技術の進化を見せつけられた。

 なお、ライブストリーミング視聴はもちろん無料である。しかも、1回限りの中継ではなく、YouTube上では2時間12分に及ぶライブをすべてそのままいつでも見ることができる。つまりビデオ・オン・デマンドで視聴できる。この原稿を書いている時点で再生回数はなんと193万を超えている。

■たかが1000万、されど1000万

 これらの一連のことは、テレビ関係者だけでなく音楽関係者にとっても衝撃的だろう。ライブをそのまま配信して、ネット上にアップロードしておくという例はあまりない。日本では以前、矢沢永吉が「(ネットの時代には)ダウンロードしても意味がないものを作らないといけないと思っている」と言っていたのを思い出した。そうなのだ、テクノロジーの進化を前に、踏みとどまっていては何も生み出せない。テクノロジーを受け入れ、利用する姿勢でいなければならないのだと思う。

 今回のライブ配信中から、私のところには数人のテレビ局の人から連絡や質問があった。「これは本当にライブなのか」「どうやって配信しているのか」

 また後日1000万という数字が公表されると、こうも言っていた。「テレビ的に言えばたいした数字はない」

 それは事実である。しかしこの数字だけを見て未だに安穏としているようでは理屈抜きに目も当てられない。

[2009年11月4日]

-筆者紹介-

江口 靖二

デジタルメディアコンサルタント

略歴

 1986年慶應義塾大学商学部卒、慶應義塾大学新聞研究所修了、日本ケーブルテレビジョン(JCTV)入社。技術局、制作局、マルチメディア室、経営企画室を経て開発営業部長。CS、BS、地上波の番組制作、運用を経験。00年AOLジャパン入社、コンテンツ部プログラミングマネジャー。02年プラットイーズ設立に参画し放送通信領域のコンサルティングに従事。08年独立。現在デジタルサイネージコンソーシアム常務理事、慶應義塾大学DMC機構研究員、シェフィーロ取締役などを兼務。

● 記事一覧