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更新:3月22日 11:00デジタル家電&エンタメ:最新ニュース

「ゲームが開発できない」PS3の本当の問題【コラム】

 本当に問題はブルーレイディスクの規格化の遅れだけだろうか。15日に行われた会見でソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の久多良木健社長は、プレイステーション3(PS3)の発売遅延の要因はブルーレイディスクとハイビジョン接続端子の規格化が遅れたことだとした。しかしそこでは重要な問題が、抜け落ちている。発売を予定していた3月だというのに、PS3向けにゲーム開発を行っているほとんどの企業では、本格的なゲームの開発の作業ステップにまで、まだたどり着いていないという事実があるのだ。

■ゲームが開発できない

 ゲーム開発の基本環境の整備が遅れている。そもそもプログラムを開発する上で必要なPS3用のコンパイラが最近まで提供されてこなかったのだ。コンパイラとは、プログラマが記述したプログラムをコンピュータが理解可能なものへと変換してくれるソフトである。昨年7月にSCEがコンパイラの専用企業、英SNシステムズを買収して開発し、対応しようとして来たが、リリースは遅れに遅れていた。遅れの原因は、PS3自身のハードウェアが持つあまりの複雑さにある。

■超高性能プロセッサ「セル」の弊害

 PS3の特徴は、SCE、IBMと東芝とで共同開発した、メインCPUの「セル(Cell)」プロセッサにある。大胆なCPUアーキテクチャで、8つのSPEと呼ばれるユニットと(1つは冗長性確保のための予備)、それをコントロールするPPEという計9つの演算作業を担う「コア」から成り立つマルチコアプロセッサになっている。言うなれば、8台分のCPUが1つのチップの中に凝縮されているようなものである。

それぞれの性能を最大限に引き出すことができれば、スーパーコンピュータ並の性能が出るというのがPS3の大きな特徴である。

 PS2以前のゲーム開発は基本的に1台のCPUの動きだけを中心に考えていればよく、プログラムの計算は順番に並べていけばよかった。ところが、PS3では性能をフルに引き出そうとすると、8台のSPEを並列に使うことを考えなければならない。ゲームを作る以前の段階で、膨大な時間をプログラマは求められる。求められるプログラムのノウハウが過去のものと根本的に違っていた。そこで、昨年11月から、「セル」の製造元であるIBM自体が、状況の改善のために、開発支援環境の提供に乗りだしてきた。「セル」向けに最適化されたコンパイラが今月からやっと提供される。

 SCEのスケジュールでは、ゲーム開発メーカー向けの開発キットの最終バージョンのリリースは6月。PS3の発売までは、半年を切っている。PS2時代で1タイトルに2―3年かかるのが当たり前の時代に、この状況でPS3の性能を活かしたゲームが出てくるのだろうか?

■PSの市場を脅かす「Xbox」「レボリューション」

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