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更新:2008年8月15日 11:40デジタル家電&エンタメ:連載・コラム

新清士のゲームスクランブル

質より量のiPhoneアプリは「アタリショック」の二の舞か

 「iPhone 3G」が日本で発売されてから1カ月が過ぎた。筆者も発売日に入手して様々なアプリケーションをダウンロードして遊んでいるが、これまでのところは実験期間、ベータサービスというレベルで、万人が納得できる成熟した状態にはほど遠い。これはアップルが意図したことなのか。(新清士のゲームスクランブル)

■ふたを開けると、いい加減だったアップルの審査

 改めて説明しておくと、iPhone用アプリを開発するためのツールは誰でもダウンロードできる。マックに最初からインストールされているプログラム環境も利用できる。そのためマックさえ持っていれば、事実上誰でもiPhone向けのソフトウエアを開発することができる。開発したソフトを「AppStore」に登録するのも、年間99ドル払えば誰でも可能だ。

 ただ、アップルがどのようにアプリの登録を認めるのか、どれぐらいの審査期間がかかるのか、どのようなアプリやコンテンツが問題ありと判断されるのかなど具体的な基準はほとんど示されていなかった。また、審査が通ったかどうかはアップルから連絡が来るが、いつからAppStoreに登録されるのかはわからない。

 逆に登録されなかった場合についても、その理由は詳細には示されない。そのため、実際にリリースされた様々なソフトウエアを通じて、間接的にアップルの審査方針を理解するしかない。

 実際、AppStoreでリリースされたソフトを見てみると、本当に問題になりそうな暴力や性表現を伴っていないコンテンツであれば、ほとんど何でも審査を通過しているようだ。1カ月で約1700本になっているが、予想をはるかに超えて、いい意味でも悪い意味でも、厳密な審査体制はとっていないことが推測される。

 11日の発売直後に500本あまりのアプリがリリースされたが、筆者自身も悩まされたのは、まともに動かないアプリの数々だ。

落ち物パズル「Aurora Feint」

 例えば、落ち物パズル「Aurora Feint」は無料であることが信じられないほど完成が高くその内容は素晴らしいが、何回か起動すると二度と起動しなくなってしまう。有料アプリにもかかわらず、同じようなバグを抱えているアプリは多数見られた。

 このような現象は、各アプリの開発会社がマック上で動作するiPhoneエミュレーターで動作させたのみで、iPhoneの実機での動作検証をしないままリリースせざるを得なかったために起きたと考えられる。ただ、こうした不具合はAppStoreに登録する前の審査段階でチェックすれば明らかになっていたはずと思える。そうした動作チェックなしに、現実にアプリが配布されているという“いい加減さ”にある意味では驚かされる。

■月額課金方式や知財グレーも

 さらに驚かされたのは、AppStoreとは別のビジネススキームが入ることを事実上認めているアプリが登録されたことだ。乗り換え案内ソフトの「NaviTime」は、無料ソフトとしてリリースされており、誰でもダウンロードできる。ただ、実際に機能を利用するにはクレジットカードの番号を入力して、月額料金を支払わなければならない。

 現状AppStoreはアプリごとの売り切り型で、日本の携帯電話では一般的な月額課金型のビジネスモデルを認めていない。ところが、このNaviTimeが認められるということは、アップルがアプリ販売を通じてまったく収入を得られないビジネススキームも認めたことを意味するのだ。

 知的財産権についても、厳密な審査はしていないと見られる。例えば、無料アプリとして提供されている「Tris」は「テトリス」の模倣ゲームだ。テトリスのゲーム化権は、米ザ・テトリス・カンパニーが管理しており、Trisは法的にはグレーゾーンのソフトといえる。また、同じくパズル「数独」は日本のニコリが商標権を持っているが、「数独(Sudoku)」という名称の有料アプリは、すでに2タイトルが全世界にリリースされていて、日本でも普通に購入できる。

 価格設定はアプリ提供企業により自由に変えられるため、無料アプリだったソフトが突然有料になったり、有料で2000円近くしたものが数百円に値下げされたりと、ユーザーの間に混乱と不公平感を招くようなアプリも出ている。

■パソコンと携帯電話の中間

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