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更新:8月31日 11:00ビジネス:最新ニュース

続・イントラSNSは何を生み出すか?Q&Aコミュニティーの評価分析

 今年3月、本欄にて、日立製作所がコミュニケーション活性化を目指して運営している、グループ会社向けイントラSNS(組織内ソーシャルネットワーキングサービス)「COMOREVY(こもれび)」と、その中に立ち上がった「応えて、こもれびー」という名の全員参加Q&Aコミュニティーについて紹介した。本稿では、この全員参加Q&Aコミュニティーのその後の活動状況を見ながら、イントラSNSのさらなる活用について考えてみたい。なお、本稿で参考にしている情報は、「こもれび」運営事務局の許可を得たものである。(吉岡正壱郎)

「こもれび」とQ&Aコミュニティー

 詳細は前回の記事に譲るが、最初に日立グループのイントラSNS「こもれび」と、今回の話題であるQ&Aコミュニティーについて、簡単に紹介しておく。

 「こもれび」は、2008年1月に日立グループ全体を対象として運用開始されたイントラSNSである。本年7月末時点で1万人を超える参加者がいる。基本は招待制だが、自己申告もOKであり、毎月400〜500人のペースで参加者が増えている。

 いわゆる社会人の常識を守る限り、記述内容に制限はない。様々なコミュニティーも立ちあがっており、業務的色彩の濃い「業務、知識・情報」に分類されるものが約55%、それ以外の「生活、組織、運営等」に分類されるものが約45%という状況である。

 その中で、全員参加Q&Aコミュニティー「応えて、こもれびー」は、昨年12月に開始された。目的は、イントラSNSという場を活かして、参加者からの質問に参加者全員が応え、それを通じて日立グループ内の情報、知識などを共有し、活用することである。開始から8カ月間で170件を超す質問が寄せられている。本稿では、これらの質問と回答を分析し、また、3月に実施された利用者アンケートの結果も参考にしながら、イントラSNSの可能性について考察してみたい。

大半の質問に業務との関連

 質問の内容を、業務とのかかわりの程度と求める回答の性質とを軸にして9つに分類してみる。それを示したのが図1だ。業務とのかかわりでは、業務に直接に関係するもの、直接ではないが関連性のあるもの、業務とは関係しないものがある。また求める回答の性質では、回答が一意に決まるもの、社内各部門の状況など複数の事実や回答を求めるもの、広い範囲から意見を求めるものに分けられる。

図1.質問の分類と主な内容

 具体例で見てみよう。まず業務に直接関連する質問では、旧製品に関する情報を尋ねるものや、ある業種を担当する顧客営業窓口を尋ねるものなどがその一例である。会社生活や会社全般に関する質問では、過去の販促イベントに関連する質問や各部署での経費削減の工夫を聞くものなどがあげられる。一方、直近の業務に関係しない分類でも、外字(JIS規格などに含まれない漢字)の取り扱いに関する相談やTV会議システム活用アイデアの募集など、汎用的な内容でありながらも、業務での活用を想定していると考えられるものが見受けられる。

 回答が1つに決まる質問では、当然ながら答えが得られた時点でトピックが終わる。一方、複数の回答が想定される質問の場合には、情報や意見が出尽くすまで、もしくは期限が来るまで書き込みが続く。特定商品の取り扱い部署を尋ねるような質問では回答は1つだが、現場の従業員との情報共有施策の実態を尋ねるものなどでは、複数の会社や部署から回答が寄せられる。

 質問内容を業務関連に限定している訳ではないが、何らかの形で業務にかかわる質問が大半を占める結果となった。その中でも、業務関連性の強い質問が全体の約4割を占める。また、上記の9分類で少し特徴的なのは、「業務に関する情報提供依頼」と「専門的、一般的な事実確認」の区分が、他と比べて2倍程度質問数が多いことである。

管理職が積極的にQ&Aコミュニティーを利用

 下記の図2は、「応えて、こもれびー」で質問をした人、回答をした人の職位区分比である。参考のためにSNS「こもれび」参加者全体の職位区分比も掲載したが、明らかに、部課長以上の管理職によるQ&Aコミュニティーの利用が活発である。このことは、管理職の人たちが、組織内のコミュニケーションに加え、知識や情報の共有・活用に関して、より関心が高く、積極的であることを示している。

図2.「応えて、こもれびー」活用者の職位区分比 

 質問は、短ければ1日、平均して1週間程度で迅速に解決する。質問者が知己をたどってひとつひとつ処理をしたのでは到底この期間では解決しない。

 各質問には平均して十数件の回答が寄せられる。回答者もバラエティーに富んでいる。日立製作所のみならず多様なグループ会社の社員から、また総務や経理を含む多様な業務部門からも回答が寄せられる。さらには入社間もない社員から経営幹部に至るまで、幅広い職位から回答が集まるケースも少なくない。

 実際に活用された事例を見てみよう。

 「日立グループ内では、工場など現場の従業員(直接員)に対して、会社からの情報伝達と共有をどのように行っているか知りたい」という質問があった。これに対し、質問から約30分後に最初の回答が寄せられ、5日間で様々な組織、職種、職位の人から14件の回答が寄せられた。

 この事例では、質問内容である情報伝達に関して、経営者、総務部門、被伝達者である直接員、そして同一情報を共有するが直接員ではない社員(間接員)という四つの視点があり、それぞれの立場からの意見があるという事が、短時間のうちに明らかになった。これは、担当部門から上位管理職に至るまでの多様な階層と、普段は交流の少ない関連会社を含む様々な事例情報が集まったことによる。

 詳細は省略するが、仮にこの情報をSNS以外の手段で集めようとすると、多様かつ適切な相手を見つけ出し、メールや電話でヒアリングする必要があり、その作業を積み上げると約2日分の作業量に相当すると試算している。

この他にも多くの事例がある。30年以上前の製品に関し、現在の取り扱い会社と部署を尋ねるもの、統合システム運用管理ツールで、3000台以上の端末管理をする際の経験事例を問い合わせるものなどでは、どちらも2時間程度で最初のレスポンスがあり、約3日で解決している。

 これらのケースでは、個人的な人脈だけではなかなかたどりつけない部署や関係者へ、SNSを起点とする人脈のネットワークによって素早く情報が伝わり、積極的な情報提供や協力が得られている。

質問者はほぼ満足、有用情報の共有も進む

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