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更新:7月5日 11:59ビジネス:最新ニュース

企業情報システム、利用意向は「接点」「勢い」「存在感」とは無関係

 日経マーケット・アクセス誌が企業の情報システム担当者を対象に行っている月次調査「日経マーケット・アクセスINDEX(日経MA-INDEX):企業情報システム」の2007年4月調査では、06年10月調査、07年1月調査に続いて、主要ベンダー/システム・インテグレーター(SIer)に対するイメージ(自分の職務領域との接点感、存在感、現在の勢い感)と、利用意向(「今後利用したい」か)を聞いた。(データで読むIT市場)

 「MA-INDEX:企業情報システム」の07年4月調査で一部既報の通り、今回は製品/サービス・ベンダー(有効回答数30以上を集めた54社)の「利用意向INDEX」トップに会計ソフト大手のピー・シー・エー(PCA)、さらに上位に帳票開発ツールのウイングアークテクノロジーズ、人事・ERPパッケージのワークスアプリケーションズと、国産パッケージ・ベンダーが名を連ねた。この54社のうち回答数100以上の“最大手”26社の中では、SaaS(Software as a Service)ブームで勢いに乗るセールスフォース・ドットコム(SF.com)が「利用意向INDEX」のトップに進出した。

 一方、システム・インテグレーター(SIer)の「利用意向INDEX」では、有効回答数30以上を集めた40社のトップがNECネクサソリューションズ、さらにNECソフト、富士通サポート&サービス(Fsas、7月1日付で「富士通エフサス」に改称)といった国産メーカー系SIerが上位を占めた。

■「利用したい」理由は「接点」でも「勢い」でも「存在感」でもない

 さて、ベンダー/SIerにとって重要なのは、企業イメージもさることながら、やはり「今後利用したい」とユーザーに思われているか否かであろう。前出の図で顕著に表れているように、「自分の職務領域はこのベンダーと接点がある/ない」のスコアの高低と、「今後利用したい」のスコアの高低を(有効回答数30以上を集めた)ベンダー/SIerについてプロットしてみると、きれいに左右対称の山型となった。つまり、「接点がある/ない」と「今後利用したい」かどうかには、ほとんど関係がない*1。

 同様に、「強い存在感がある」「会社に勢いがある」という設問で各社が得たスコアとの間にも、「利用したい」はほとんど関係がない。この「利用したい」「接点」「勢い」「存在感」の4項目と、94社のそれぞれが得たスコアの傾向を、主成分分析という手法で概観できる図にまとめた(下図参照)。一見して分かるのは、「利用したい率」と「勢い率」「接点率」「存在感率」がグラフ中央の原点から、ほぼ直角に近く3方向に離れていること。やや「勢い」側に引かれてはいるが、「利用したい」ベンダー/SIerかどうかは、「接点」「勢い」「存在感」といった評価とは無関係に近いようだ。

主要ベンダー/SIerの「イメージ」(存在感,勢い,利用意向)と「接点」スコアの主成分分析(※4)

■SF.comは営業システム担当の支持厚いがソフト購入担当に支持されず

 すべてのベンダー/SIerに共通する「利用したい」(されたい)会社の特徴、言い換えれば“IT業界の勝利の方程式”はないようだ。ならば、顕著な特徴を示した“勝ち組/負け組”のベンダー/SIerについて、“個々の勝因/敗因”を見てみよう。

 「利用したい」率上位と下位、それに「利用したい」率は中位だが「職務領域と接点がある」率の高いベンダー/SIerについて、「利用したい」という回答者の属性(担当システムの範囲・分野、利用者規模)*2を分析した。「判別分析」という手法*3を用いて、個々のベンダー/SIerに対し「利用したい」とした回答者の属性の特徴をまとめた。

 回答数100以上のベンダー中「今後利用したい」率でトップのSF.comは、「SFA・営業系」の0.77に対して、「ソフト購入」が?0.56という、正負分かれる係数が算出された。これは、「営業系システムの担当者」はSF.comに対して「今後利用したい」と回答した比率が目立って高いが、「ソフト購入担当者」では目立って低いことを意味する。

 極論すると、セールスフォース・ドットコムはエンド・ユーザーに近いシステム担当者に「利用したい」という味方は多いが、ソフト購入担当者は「利用したいと思わない」と敵に回っている、ということになる。

 ウイングアーク テクノロジーズもやや似た傾向で、「ソフト購入担当者」は支持していないが、「運用・保守開発の担当者」が「利用したい」と支持している。

 PCAもやや微妙で、「ワークグループ」規模と「生産管理」システムの担当者に支持票の比率が高い。「判別分析」の解としては出てこないが、【業務アプリケーション分野別】でPCAの“本拠地”の「会計」や「人事・給与」の担当者の「利用したい」係数は中立に近く、むしろ物流/SCM/SFA・営業系の担当者の支持率(判別関数の係数)が高め。「事業所の情報システム」の担当者の支持率は高めだが、「小規模」や「中規模」の担当者のPCAへの支持は平均より低めに近い。“アウェイには強いが…”と言えるだろう。

■「全方位」強み発揮のNECソフト、「インフラ」固めたレッドハット、Fsas

 逆に、レッドハットはインフラ系の各分野の指標が高く、業務アプリケーション分野の担当者の支持は中立的。Fsasも「判別分析」の解としてはインフラ分野の「ネットワーク系」とアプリケーション分野の「SCM」が残ったが、全体としては「インフラ」各分野の担当者の支持(係数)が高い。07年1月調査でもFsasは「アプリケーション分野での認知はSlerの中で最下位に近いが、インフラ分野での認知は中〜上位」であり、“ホームに強い”と言えよう。

 NECソフトは、インフラ分野とアプリケーション分野の両方のスコアが拮抗(きっこう)しており、重み順に並べるとほぼ交互にインフラ分野とアプリケーション分野が登場する。これまた07年1月調査での“オールラウンダー”としてのNECソフトへの認知傾向とマッチしており、「今後利用したい」支持層が顧客につながりやすいだろう。

■SAPは「ソフト購入担当者」に失点、SOA担当者は支持

 「今後利用したい」率が低かったベンダーでは、SAPジャパンがSF.comと似た傾向で、「ソフト購入担当者」の係数がマイナス。明らかに“オカネ”の面で支持されていない。しかし、SAPの目下の戦略分野であるSOA(サービス指向アーキテクチャー)を包含する、「連携基盤系」のシステム担当者の支持率が高めなのは、明るい兆しだ。

 日本ユニシスは「今後利用したい」という回答が5件で、分析の精度にやや疑問はある。だが回答者の特徴は顕著で、判別係数の上位8位までが、すべてアプリケーション8分野に占められている。「今後利用したい」率は確かに低いが、アプリケーション系の担当者からの支持は根強いと言える。

(日経マーケット・アクセス/千田 淳)

 ベンダーSIの評価や企業の投資動向の調査結果の詳細は『日経マーケット・アクセス』のセミナーで解説予定です。

日経マーケット・アクセスのサイトはこちら

*1 今回の図A21-2の94社のデータの場合,相関係数は?0.046だった。

*2 「担当・関与しているシステムの規模(範囲)」(複数回答)4項目:全社の情報システム/事業所の情報システム/部門の情報システム/ワークグループの情報システム。

 「担当・関与している情報システムの分野」(複数回答)20項目:【業務別】経営戦略・意思決定支援系/会計/人事・給与/SCM/SFA・営業系/CRM・顧客関連/生産管理/物流,【インフラ別】セキュリティー/情報系(グループウエア,情報共有)/ネットワーク系(WAN,LAN,電話)/インターネット系(情報発信,電子商取引,マーケティング)/ストレージ系/アプリケーション(システム)間連携基盤系/運用・危機対策/ビジネス・コンティニュイティー系,【目的別】新規システム開発/既存システムの再構築/運用・保守開発(信頼性向上,コスト・ダウン),【ハード/ソフト別】ハードウエア購入/ソフトウエア(アプリケーション/ミドルウエア)購入。「担当システムの利用者規模」小規模(50人未満),中規模(50人以上500人未満),大規模(500人以上)。

*3 統計分析の手法の一つ。大まかに言えば「この回答者がこのベンダー/SIerを『利用したい』と回答するかどうかを,他の設問への回答内容を変数として,最もうまく推定する方程式を導出する」ことにより,どの設問と『利用したい』の設問の間の関係が深いかを見ることができる。

*4「存在感率」「勢い率」「利用したい率」は,そのベンダー/SIerに対して「強い存在感がある」「会社に勢いがある」「今後利用したい」のいずれかにyesとした回答者(無回答としなかった回答者)の中でのそれぞれの回答者の比率。「接点率」は有効回答783件の中で,「自分の職務領域はこの会社との接点がある」とした回答者の比率。「無回答としなかった回答者」数30以上の有効回答を得た94社を主成分分析して本図に示した。94社のベンダー/SIerが得た4項目の指標の値(「接点率」は平均25.8%,「存在感率」は同65.4%,「勢い率」は同30.5%,「利用したい率」は同23.9%)から,4指標全体の関係と各社のポジションを概観できる。

 4指標の位置関係を見やすくするため「エカマックス回転」と呼ばれる座標変換後の値で,4指標の「主成分負荷量」と各社の「主成分得点」を示した。座標の原点から見て4指標のそれぞれの延長線上の方向にプロットされているベンダー/SIerは,その指標の性質を強く持っている。

 本図に示した主成分分析での「説明された分散」は第1主成分で56.2%,第2主成分までの累積で80.3%(累積寄与率)。つまり「94社×4項目」の情報量のほぼ8割を,本図は示している。分析にはSPSS 14.0J for Windowsを用いた。

[2007年7月5日]

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