更新:5月2日 15:00ビジネス:最新ニュース
パナソニックモバイルが急激にシェア拡大、シャープを逆転・携帯電話機の購入実績シェア
国内携帯電話機市場でこれまで圧倒的強さを見せてきたシャープ。ところが、日経マーケット・アクセスが「日経BP調査モニター」を対象に毎月実施している「日経マーケット・アクセスINDEX:デジタル家電」調査によると、2007年10月以降、パナソニックモバイルコミュニケーションズの人気が急上昇(図1)、2008年1月調査で購入を予定する人の間で購入候補メーカーのトップに立ち、購入実績シェアでも同年2月にシャープを逆転して、首位になった(図2)。(日経マーケット・アクセス) 図1は、実際に購入を予定している人に購入候補としているメーカーを尋ねた結果である。毎月、調査月を含む向こう3カ月間に購入を予定している人を抽出して、候補と考える端末メーカーを最大2社まで選んでもらった結果を回答率推移で示している。実際に購入の意思を持つ人に尋ねた結果なので、購入予定のない人も含めて尋ねた人気とは異なり、短期的なシェア予測に役立つ。 シャープは2007年5月調査(同5月〜7月までに購入を予定する人が対象)から同9月調査まで、3割以上の購入予定者が候補として挙げ、2位以下を大きく引き離してトップを独走していた。2位グループのパナソニックモバイルや東芝、NECなどはいずれも回答率10%台だった。 変化が起きたのは、年末商戦の購入意向を尋ねた2007年10月調査以降である。首位シャープを候補に挙げる回答率が徐々に低下する一方で、2位グループからパナソニックモバイルが抜け出し、急速に支持を増やした。同社への支持は2008年1月調査でシャープをわずかに上回り、同3月調査では3割弱まで伸びた。 一方のシャープの人気は、パナソニックモバイルが支持を伸ばした2007年10月調査以降、徐々に低下して、2008年3月調査では25%台。半年間で7ポイントほど減少した。 その他のメーカーに目を向けると、NECは2007年12月から2008年1月調査にかけて人気が上昇したが、その後低下、東芝も2007年8月調査時をピークに、いったん上がった人気が下降。ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズは調査期間を通して、10%台前半で推移している。 ■AQUOSブランドだけでは限界 こうしたパナソニックモバイルの躍進の原動力は、ワンセグ放送視聴を重視した製品に、松下電器産業の薄型テレビ「VIERA」のブランドを使ってイメージ戦略を繰り広げたことが挙げられる。高画質を売り物にするために「『VIERA』で培った」(パナソニックモバイル)画像処理技術を携帯電話機向けに応用した。2007年11月発売のNTTドコモ向け「FOMA P905i」に縦、横両方向に開く「Wオープンスタイル」と呼ぶ機構を採用して、人気を集めた。また2008年2月には、「同P905iTV」に3.5型と現在のところ携帯電話機としては最も面積の大きな液晶ディスプレイを採用した機種を追加した。また「VIERA」ブランドを使わない機種でも薄型でワンセグ視聴機能を持つ製品をKDDI(au)向けに供給し始めるなど、“分かりやすさ”を訴求力の武器に利用した。これらの結果、パナソニックモバイルの製品を購入候補に挙げる人が増えたと考えられる。 薄型テレビ・ブランドで製品の認知を高め、イメージアップを図る点では、シャープが2006年5月に発売し、その後シリーズ化を進めた「AQUOSケータイ」で先行した。2007年秋まで同社の人気が高かった要因の一つに挙げられる。主要携帯電話3社すべてに、「サイクロイドヒンジ」機構の旋回型ディスプレイを備えた同ブランドの端末を供給しており、人気を高めた。その効果が浸透した後、パナソニックモバイルの追い上げを受け、やや人気が低下したが、パナソニックモバイルを除く他の端末メーカーよりは高い人気を、引き続き維持している。 パナソニックモバイルやシャープ以外でも東芝が「REGZAケータイ」、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズが「BRAVIAケータイ」、日立製作所が「Woooケータイ」と、それぞれ薄型テレビのブランドを冠した端末を発売しているが、今のところシャープやパナソニックモバイルのような成功を収めてはいない。この理由には、ブランドそのものの浸透度に加えて、薄型テレビ・ブランドを付ける機種と付けない機種との差が明確ではなく、消費者にとって分かりづらいことが挙げられそうだ。 ■実際の購入へは1〜2カ月遅れで伝わる 実際の購入シェアの推移は、同じ調査母集団に対して、調査前月に携帯電話機/PHSを購入した人を抽出して、その端末メーカーを尋ねた結果をまとめたものである(図2)。累計購入台数で上位5メーカーのシェア推移を調査月ごとにグラフ化したのが図2である。 パナソニックモバイルのシェアが大きく拡大し始めたのは、2008年1月調査の2007年12月実績値からである。それまで10%台前半だった同社のシェアは10%台後半に拡大し、2008年3月調査(2月実績)で2割を超え、シャープを逆転してシェア首位に立った。2008年4月調査の集計途中の速報値ではパナソニックモバイル21.1%、シャープ22.9%と、シャープが巻き返しそうだが、パナソニックモバイルのシェア2割超は維持されるだろう。 (日経マーケット・アクセス/改井 満)
調査方法:「日経BP調査モニター」に対して、2008年3月5日〜3月10日まで実施。有効回答数は1万5748。属性分布などは日経マーケット・アクセス年間購読会員サイトの「日経MA-INDEX:デジタル家電、2008年3月調査」を参照。 [2008年5月2日] ● 記事一覧
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