更新:4月27日 10:00ビジネス:最新ニュース
日本全体の課題を50代だけで議論してよいのか?
人材の多様化。この必要性は今までもさんざん語られてきたが、いっこうに実現されない日本の大きな弱点である。閉塞感の漂う日本社会、日本経済において、今こそ大胆に人材多様化を進められないだろうか。(夏野剛のネオ・ジャパネスク論) ■日本の組織は「下積み」重視 そもそも日本の組織は人材の多様化を嫌う。何十年も「同じ釜の飯」を食って初めてその組織の長となる。何十年も同じ会社に勤めて初めて経営者になれる。 行政機関の事務方のトップになるには、大学卒業時にその道を選ばなければならない。首相や大臣を目指すのならば何回も選挙に勝って国会議員を務めることが必要。専門知識よりも当選回数。判断能力よりも年功。 このような「下積み」重視型のリーダーの利点はある。それは、組織の中の人間の気持ちがわかり、安心感があり、地位継承の混乱を招かない。前任者否定といった悪い意味での脅威もない代わりに、いい意味でのサプライズもない。 誰がリーダーであっても変わらない組織、会社が理想型とされ、リーダーになることは責任よりも恩賞を意味する。日本経済全体が安定成長してきた懐かしい時代のシステムを未だに色濃く残すこれらの仕組み。 ■過去のシステムだとわかっているが… さすがに皆わかっている。もうこのシステムはワークしない。しかし今のリーダー層は、これらの果実を自分のものにするために、頑なに過去のシステムを守ろうとしているかに見える。 この10年のIT革命は、旧世代リーダーたちの指導力を徹底的に暴露してしまった。彼らも自分の若い頃の常識は全く通用しないことはさすがにわかっている。一人1台PCで仕事をすることなんてあり得なかった。パソコンやケータイを使いこなす若い世代の方が、確かに生産性は高そうだ。 新しい仕事のやり方、新しいトレンドもまったく理解できない。なんでこんな商品が売れるのだろう。なんだか複雑そうなことを簡単にやってるなあ。 しかし上役は俺だ。俺の方が偉いんだ。若い頃はずいぶん貢献したもんだ。この会社は誰のおかげでここまできたと思ってるんだ。近頃の若いやつは難しいご託は並べるが、精神修養ができてない。黙って言うこと聞け。いちいち反論するな。
■世代間の断絶と貧富の格差 日本は過去一度もないほどに世代間の断絶と貧富の格差が生まれていると思う。 年金逃げ切り世代の50代は給与が高いにも関わらず失業率は低い。どの会社も新入社員の採用を減らして、高齢社員の雇用を維持しようとするから、定年までは何とか勤め上げられそう。50代以上で、1400兆円にのぼる日本の個人金融資産の80%近く(60代以上で6割)を保持している。日本の繁栄を味わえる最後の世代。 これに対して、30代はロストジェネレーションと呼ばれ、大学卒業時にはすでにバブル崩壊。就職は氷河期。年金は払う額以上に受け取れないこともはっきりしている。 貯蓄からローンなどの借り入れを引くと、平均はマイナス、つまり債務超過。悠々余裕の上司世代の生活は望むべくもなく、管理職になれる年齢もどんどん上がっている。昇給もスロー、昇進も超スロー。 20代はさらにひどい。人件費は50代の3分の1以下で、パソコンもケータイも使いこなせるのに、失業率は何倍も高い。接待交際費とかタクシー券なんて使ったこともないし見たこともない。昔はなんだかすごかったんだなあ。 ■ツケはすべて若い世代に 同じ国で、これほどの世代間格差があるのは尋常でないのではないか。極端なことを言えば、最後の日本の繁栄を謳歌している世代の無策が、今の日本をこんなに沈滞させているとも言えるのに、そのツケはすべて若い世代に押しつけられている。 せめてもの救いは、貧しい世代の親に当たるのが余裕世代で、晩婚、同居、大人になってもお小遣い、などという形で、家族内所得移転が日常的に行われていることか。そのせいか、男女ともに若い世代の晩婚化、高齢出産、少子化に歯止めがかからず、日本民族は衰退傾向にある。 次ページ>>新しいものを受け入れられない余裕世代 ● 関連リンク● 記事一覧
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