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更新:8月3日 09:30ビジネス:最新ニュース

「Twitter」が日本でブレークするための条件 勝間和代

 140字以内で互いにささやき合うミニブログサービス「Twitter(ツイッター)」が、日本で本格的にブレークするかどうかが議論の的になっている。私も実際に使ってTwitterの可能性を強く感じたのだが、課題は3つあると考えている。(勝間和代のITマーケットウォッチ)

 IT系の新しいテクノロジーやサービスが、「キャズム」すなわちアーリーアダプターからアーリーマジョリティーへの壁を越えるのは難しい。本当にキャズムを越えるのはごく一部であり、大半はその内側で忘れられてしまうのがこの分野の特徴だからである。

 Twitterがどちらにいくのかは、ビジネス価値はもちろん、私たちユーザーがどれだけ時間やリソースを割いていいのかという意味でも興味深い。果たして、Twitterは第2の「セカンドライフ」に終わるのか、あるいは、一部の人が期待しているようにGoogle並みのインパクトをもたらすのか。今回は、Twitterがブレークするための条件と、将来のビジネスへの活用方法を考察する。

■数日で1万人を超えるフォロワー

 私がもともとTwitterの存在を意識したきっかけは、自分の名前で検索する、いわゆる「エゴサーチ」をしているときだった。ここ半年くらい、やたらとよくTwitterのつぶやきやそれを引用したブログに当たるようになった。そこで、今年4月にアカウントを取ってみたのだが、周りにヘビーユーザーがいなく使い方もよくわからなかったため、その後は放置していた。

 ところが、7月下旬にたまたまワシントンとニューヨークを社会起業家の取材に訪れたとき、現地クルーや現地に住む友人と話をして、米国ではTwitterがかなり一般化していることがわかった。それは、大統領選でのオバマ氏、CNNのニュース、ホワイトハウスのプレス案内、プロスポーツ選手や芸能人のつぶやきといったマスメディア機能だけではない。学校の保護者会の連絡のような地域サービスにまで広く使われているのである。

 これはすなわち、キャズムを越えてきているということであり、私もあわてて時間を割いて使い始めた。日本でもブレークするかどうかの検証が必要だと考えたからである。

 まず最初に、実名でなかったアカウントを実名にして自分のブログにリンクし、「かたり」でないことを明らかにした。すると、自分のアカウント「kazuyo_k」に数日で1万人を超えるフォロワーができた。これが、最初の大きな驚きだった。そんなにも多くのアクティブユーザーがいるとは認識していなかったからである。

 さらに、このkazuyo_kが私であるとTwitter内のユーザーに知られていくプロセスにも驚いた。「ReTweet」という他の人の発言を引用する機能や、津田大介さんのような多くのフォロワーを持つハブとなる人物がささやくことで、私の存在がほんの数十分でTwitter内に伝わっていく様を目の当たりにしたのだ。

 Twitter内のユーザーは利用方法についても手取り足取り教えてくれ、ほんの数日であっという間にTwitter特有のさまざまな概念やツールの大半を理解することができた。その巨大なコミュニティー・ラーニング機能は、今後の可能性を強く感じさせるものであった。

「ヒウィッヒヒー」祭りが起きた広瀬香美さんのつぶやき

■広瀬香美さんの「ヒウィッヒヒー」祭り

 私がたまたま、親しい友人でシンガーソングライターの広瀬香美さんをTwitterに誘ったことで、日本のTwitterコミュニティーには良くも悪しくも大きな変動がもたらされたと思う。

 広瀬さんはある意味アーリーアダプターとは異質だが、芸能人として多くの人に知られている。そういう知名度の高い人がTwitterに入るとメディアとしての効果をもたらすというTwitterのメディア価値を私たちに教えてくれたからだ。それが7月下旬の「ヒウィッヒヒー」祭りである。

 これは何かというと、「twitter」というロゴの「t」の字がカタカナの「ヒ」に似ていることから、広瀬さんがTwitterを日本では「ヒウィッヒヒー」と呼ぼうと、ユーザーに呼びかけた。それがTwitterユーザーのみならずブログその他に広がり、ウェブ系のニュースでも「一夜にして流行語」と取り上げられたのである。

 このエピソードはさらに「Yahoo! JAPAN」のニュースでも掲載され、私はそのあと数日間、会う人ごとにこの話をされた。この「ヒウィッヒヒー」祭りで、身の回りでもTwitterを始める人がずいぶん増えたのである。

■ブレークが難しい3つの理由

 では、Twitterはこのまま順調に日本でもブレークしていくだろうかといえば、私は必ずしもそうではないと考える。その理由は下記の3つである。

理由1)楽しむにはある程度のITリテラシーが必要

 Twitterを楽しむための環境として、さまざまなアプリケーションやツールがオープンソースベースで開発されている。それはたいへん豊富だが、半面、ユーザー自身がサイトを訪れダウンロードをする必要がある。

 ところが、これはITに詳しくない人にはたいへんハードルが高い。ある程度の知識や経験がないと直感的に理解できないのだ。しかも現在はまだ、技術的にいろいろなものが新しく生まれている最中で、それは技術好きにはとてもうれしい環境だが、一ユーザーとして楽しみたい人には、まだ参入障壁が高い状態にある。

 例えば、先に紹介した広瀬さんだが、私が使っていて実際に使い方を説明する機会がなかったら、おそらく利用しはじめるのはもっと遅かっただろう。それに私は、広瀬さんにはTwitter専用のクライアントソフトを導入してもらいたいのだが、そこまではいっていない。自分でパソコンの環境設定などをしたことがない人は、まだそれくらい難しいらしい。

理由2)意外と難しいコミュニケーション

 自分の考えを140字にまとめたり、オンライン上の知らない人と空気を読みながら会話したりするのは、実は簡単なようで意外と高いコミュニケーションスキルを要求される。

 携帯メールのような制限が多いメディアの利用はコミュニケーションスキルを上げるという研究もあるが、Twitterも同じような制限がある文字だけのメディアだ。その結果、日本のTwitterユーザーの平均年齢は意外に高く、10〜20代ではなく、30〜40代前半が中心となっている。

 これは海外でも同じようである。現在のユーザーのイメージは、ある程度のITリテラシーがあり、高度な概念を操作に転じられる人といった感じである。また、海外ではユーザーの男女比は同じくらいであるが、日本では7割が男性となっている。

 実際、140字制限で面白いコンテンツを作るのはかなり大変である。広瀬さんの発言がユーザーに受け入れられているのは、もともとの作詞家としての強い言語感覚に、他のユーザーが新鮮な驚きを感じているためだということは特筆すべきだろう。

理由3)類似の競合サービスがすでにたくさんある

 日本でTwitterの女性ユーザー比率が低いのは、他の類似メディアにすでに同様のコミュニケーション欲求を満足させるサービスがあるからだろう。例えば、仲間内のコミュニケーションはSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の「GREE」や「mixi」、あるいは携帯メールで十分である。著名人が自分のメッセージを伝えるなら、ブログとRSSリーダーで代替がきく。

 以上3つの理由の結果、日本では今のところ、「ある程度リテラシーがある人の直接知らない同士の緩やかなつながり」というニッチマーケットにのみ、Twitterの優位性が見いだされているのである。

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