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更新:6月28日 10:00ビジネス:最新ニュース

「ASP」が「SaaS」に衣替え・郵政公社も採用

 「郵政公社が採用したのはかなりの驚きだった」――。IT業界関係者がこう口をそろえるのは、3月にNTTデータが落札した日本郵政公社向けシステム案件。10月に発足する郵便局会社が全国の郵便局で使う顧客情報を管理するためのシステムで、官庁に強いNTTデータが受注したのは不思議ではないが、システムの中身は米セールスフォース・ドットコムにアウトソーシングするものだからだ。(WEBビジネス2007)

 郵便局会社は今年1月に全国の4200以上の郵便局で使う顧客情報管理システムを導入するために要件をまとめ公示した。そして3月に各ITベンダーによる入札があり、最終的にNTTデータが提案したセールスフォースのシステムが落札した。落札価格は約2億6000万円だった。

 このセールスフォースのシステムは、セールスフォースがシステムに必要なサーバーなどを運営しており、顧客情報の内容を保存するデータベースもすべてセールスフォースのデータセンター内に置く。郵便局の局員はパソコンのブラウザーを通じてこの情報にアクセスして、顧客情報の閲覧や入力をする。

 従来であれば、特に官公庁の巨大システムでは、国内メーカーのメーンフレームを導入してその上で動くシステムを作るというのが常套パターンだった。なぜ今回は、こうしたアウトソーシング型となったのだろうか。

 郵政公社のコーポレートIT部によると、決め手となった1つは「短期間でサービスインできる」ことだった。1月に公示があり、3月の落札で、10月の郵便局会社発足までにシステムを間にあわせないといけない。構築期間はテストも含めて半年しかない。「従来型のサーバーを自営する方式の提案もあったが開発期間が長く、要件にあわなかった」(郵政公社のコーポレートIT部)という。価格面でも従来型では導入コストが高くなる。

 最近、このように企業内にシステムを設置するのではなく、情報システムサービス企業が運営するサーバー上のシステムに、ネットワークを通じてアクセスして利用するものを総称して「SaaS(Software as a Service−サース)」と呼ぶようになっている。

 あらかじめサービス企業側にシステムは構築されており、それを利用企業ごとに一部手直しして、使うことになる。手直しや導入企業側での利用トレーニングは必要だが、個別にシステムを設計し、開発、テストという段階を踏むよりも圧倒に導入までの期間を短くできる。

 またシステムは企業戦略に合わせてその都度、変更になることがある。どのぐらい使うのかわからないシステムの初期コストを抑えられる。今回の郵便局会社でも、発足までに顧客情報管理のシステムは必要だが、さらに本格的に民営会社として事業展開する際には別の新しいシステムが必要になるかもしれないという算段もあった。

 実のところ、こうしたサービスのことは従来はもっぱらASP(Application Service Provider)と呼ばれおり、依然としてASPという名称でサービス提供している企業も多い。「ASPとSaaSは利用企業から見たら基本的に差はない。ただし、バックグラウンドのシステムを構成する技術は進化している」(CSKホールディングスの有賀貞一取締役)という。技術の進化で、SaaSで提供されるシステムとその他のシステムをうまく連携できるようにするようなことも進んでいる。

 ASPという言葉に取って代わろうとするSaaSだが、今盛り上がりを見せているのはなぜか。それは「ブロードバンドインフラが低コストで提供される環境が整ったことが大きい」(ITベンダー関係者)という。ネットワークを通じて使うわけだから、システム利用料以外にもネットワークのコストが高くついてしまっては、割に合わなくなる。

 ただし、すべてがSaaSになるかというとそうでもない。初期コストは安く、トライアル的に導入しやすいメリットがあるものの、「長く使う場合ランニングコストが高くなる場合もある」(ITベンダー関係者)という。情報システム部門の人員がすでに充実しているような企業であれば、自営のサーバーで運用するシステムのほうがコストを抑えられる場合もあるだろう。一方で、システム部門のスタッフが不足しているような場合であれば、24時間の監視なども含めて委託できるメリットがある。

 結局はSaaSで利用しようとするシステムの位置づけが問題になる。そのシステムが会社の戦略上どういう位置付けであり、SaaS方式で提供を受けた場合にどういうデメリット、メリットがあるかを見極めるべきであろう。

[2007年6月28日/IT PLUS]

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